現役CAが経験したコロナ禍での国をまたぐ移動
新型コロナウィルスの影響で各国で渡航制限が設ける中、現役CA(客室乗務員・キャビンアテンダント)として海外ベースで働く私は、先日一乗客として日本に入国しました。
日本では現在多くの国を渡航制限の対象にし、よほどの事情がない限り外国からの観光客は上陸(入国)出来ません。
そして私たち日本人も渡航先や経由先には入国制限があったり、各国の対応が流動的なので最新の情報を確認する必要があります。
日本人の皆様はもちろん、日本へ入国は出来ます。他には永住者や日本人の配偶者などごく一部の方のみ、厳密なルールに従うことで入国は可能です。
日本入国の際、どのような対策が取られているのか気になる方も多いと思いますので、今日はコロナ禍での日本入国の流れ、PCR検査、14日間の待機期間などについて、私の経験を皆さまにシェアしたいと思います。
日本再入国の大まかな流れ
1. 配布書類の記入、PCR検査の受付
2. PCR検査
3. 個人面談
その後、いつも行っている入国審査と税関検査となります。
それでは、1つずつ詳しくご紹介していきます。
1.配布書類の記入、PCR検査の受付
空港に到着すると、必要書類の配布や降機の準備のため、再び指示があるまで現在の座席で待つようにとのアナウンスがありました。
地上係員から配布される書類は3種類あり、全て提出が必要です。
(その他に通常の税関申告書があります。)
(1)申告書
待機場所への移動手段、滞在期間 及び 14日間の待機場所、便名、日付、署名して提出。
(2)LINEアプリ等を活用した健康確認 個人情報の取扱いに関する説明書 兼 同意書
厚生省・保健所からの健康に関する確認連絡をLINEを用いて行う(=LINEで友達になる)方法の説明が書かれていました。
日本の電話番号のスマートフォンがないなどの理由により、LINEを用いらない場合は、毎日自動音声による健康状態の確認があるとのことです。
(3)質問票
過去14日以内の接触歴や体調の異変などについて、Yes・No式で回答する質問票です。
氏名、国籍、パスポート番号、生年月日、到着日、航空便名、座席番号、住所 / 滞在先、電話番号、メールアドレス、滞在期間などの必要事項を記入し、提出します。
飛行機の中で待つことおおよそ45分後、前の列から順番に数列ごとに区切って降機の案内がありました。
飛行機を降りてからの流れ
座席順に前から降機しましたが、 説明を受けるため降りてすぐの待合所で待機となりました。
いつもの国際線到着後の入国審査への流れとは異なりますね。
同じ便の全員が降機の後、PCR検査へ向かうにあたり、以下の順番で簡単な受付作業(1人1人検査の際の番号が記された紙を受け取る)がありました。
1. 日本到着後の14日間の検疫期間を自宅で過ごす人で、ハイヤー、レンタカー、誰かのお迎えがすでに手配されている人
(帰国者はリムジンバスや鉄道などの公共の交通機関、そしてタクシーでの移動は出来ません。)
2. PCR検査の結果を待ってから自宅に戻りたい人、もしくはホテルなど滞在先が決まっている人
※ PCR検査の結果が判るまでの間、2日ほど待機が必要となる方々。
次のページ:PCR検査の受け方は?結果はいつ分かる?
(2)PCR検査
空港内の通路には数メートルごとに係員の方が立っていて、さらには矢印の紙が表示されていて、PCR検査場まで迷うことはありませんでした。
途中でお手洗いや分かれ道もありますが、テープで行かれないようになっていました。
(お手洗いは先ほどの降機後の待合所で行くことができますので、ご安心下さい。)
PCR検査の際は、検査員に対して正面ではなく、右側を見せるように着席するように指示がありました。
マスクから口は覆ったままで、鼻だけを出すようにとの指示があり、鼻から検体を採取しました。
(3)個人面談
PCR検査後、機内で降機前に記入した書類の内容に基づいて確認程度の面談があります。
私の場合、自宅に帰る手段の確認と、「誰が迎えに来るか、もう来ているか?」など、書類に記載した内容に対してきちんと丁寧に確認されました。
そして14日間の待機期間の過ごし方の説明と意識確認(公共の交通機関には乗らないでください、自宅や待機場所に滞在して外出しないでください、などの要請)がありました。
もし個人的に質問がある場合はこのタイミングで可能と思われます。
PCR検査の結果はいつ、どのように知らされる?
面談の際に、PCR検査の結果がどのように知らされるかの説明もありました。
陽性の場合の連絡は早く、その次に先ほどの「飛行機を降りてからの流れ」の2のグループの方 = 検査結果が判るまで待機を希望される方や、ホテルで検疫期間を過ごす予定の方に優先的に連絡が行くとのことです。
できるだけ早く結果を知る必要がある方から優先的に連絡がいくのは、理に適っていると感じました。
各自で移動して自宅で14日間の待機期間を過ごす方が陰性の場合の連絡は遅めのようで、実際に自宅で待機した私の場合は4日後、メールにて陰性の連絡がありました。
メールには、陰性であった場合も14日間は引き続き待機場所から不要不急の外出をしないこと、公共交通機関を使用しないこと、咳・発熱などの症状があった場合は「帰国者・接触者相談センター」まで連絡してくださいとの旨も記載されていました。
帰国後、PCR検査「陰性」+14日間の自主隔離
面談の後、通常通りの入国審査、そしてチェックインした荷物を回転台から受け取った後で税関の検査となります。
到着した翌日から14日間が、外出自粛の待機期間となります。
その際、厚生労働相のLINE、帰国者フォローアップ窓口とお友だちになり、メッセージをやりとりする要領でアンケートに回答し、発熱や咳などの症状がないかを毎日確認をします。
念のためでしょうか? 毎日LINEで連絡をしていても、自動音声での連絡も重複してかかってくることもありました。
14日間を自宅で過ごしたら待機期間の終了となり、晴れて自由に外出することが可能となります。
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裏話
ここからは余談になってしまうのですが、「違反をせずに公共の交通機関を使わないで帰るかどうか、チェックする人がいるの?」など、友人から聞かれることが多いので答えておきますね。
私の場合は誰かが迎えの車を確認するためについて来たということはありませんでした。
また自分自身が公共の交通機関を使おうとした訳ではないので違反した先に何があるのか、分かりません。
ただ、現在、国際線を利用する人、この時期に移動する人が限られているため、また、乗客が空港内で1人1人面談をしてから外へ出ていくため、さらにソーシャルディスタンスを確保して行動するため、誰がどういう行動をしているかはわかりやすいと思いました。
監視をしている訳ではないのですが、至るところにスタッフの方がいらっしゃって、とてもケアが行き届いている印象を受けました。
また、個人面談の際も面接官の方が「ご家族のお迎え、もうすぐ着いちゃいますよね?」など気を遣ってくださったり、和気藹々とした空気での面談でした。
毎日大変な中、細やかなケアと心遣いを欠かさないスタッフの方の様子に、とても感動しましたし、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
最後に
以上、私の経験をお話しましたが、今後流れが変わる可能性もありますし、あくまで私個人の経験として受け取っていただけましたら幸いです。
客室乗務員のみなさま、地上係員のみなさま、やむおえない事情で国をまたぐ移動が必要なみなさま、今は本当に大変だと思います。
私自身も航空業界に身を置くものとして厳しい局面ですが、こんな時こそ周囲を思いやる気持ちを忘れずに乗り越えていきたいです。