「学校行事、安易に中止にしないで」 生徒も、学校もコロナ禍で思い複雑…苦渋の決断

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学校行事について話し合う清明高の越野校長(左)と生徒会長の五十嵐さん(右)=京都市北区・同高

 新型コロナウイルスの影響で、各学校が秋に予定する運動会や体育祭、文化祭を実施するか検討を急いでいる。児童や生徒が楽しみにする学校行事だが、保護者が大勢押し寄せると感染リスクが高まるため見直しを迫られている。京都府内の学校は教育的な効果と感染予防をどう両立させるか模索し、中止や規模の縮小、内容の変更などで対応しようとしている。

 

■運動会→体育発表会、文化祭→制作物展示

 西院小(京都市右京区)は運動会を「スポーツフェスティバル」の形式に変更し、学年ごとに3日間に分けて10月に実施することを検討している。生徒数が約950人と多く、保護者が来校すれば密集状況が生まれるためだという。

 種目も児童同士が接触する組み体操や騎馬戦は感染予防の観点から難しそうだという。國重初美校長は「運動会は大きな行事で、児童たちはそれを目標にして成長する。ただなくすのではなく何らかの形でやらせてあげたい」と話す。

 山科区の別の市立小も同様に、運動会でなく種目を絞ったスポーツフェスティバルのような形式への変更を考えている。低、中、高学年ごとに順に種目を実施する計画で、保護者は体育館で中継画面を通して観覧し、自分たちの子どもが出場する時間帯になれば運動場に出て応援できるようにするという。

■「休校で体力落ち、無理もさせられない」

 同小の校長は「児童たちは4、5月の休校中に体力が落ちているのであまり無理もさせられない。ただ運動会は達成感や子ども同士のつながりを感じさせる教育的狙いがあるので、制約の中で何ができるか前向きに考えたい」と話す。

 両校を含め多くの学校は、運動会の代替行事を体育の授業の発表会のような位置付けにする考え。各校は4、5月の休校で多くの授業時間を失っており、例年の運動会に向けた練習時間を体育の授業として活用すれば、授業時間の確保にもつながるからだ。

 田辺小(京田辺市)も、運動会は「3密が避けられず実施が難しそうだ」として別の体育的な行事を代わりに検討している。藤原真校長は「授業参観のように体育の成果を見てもらえる形にしたい」と話す。

 行事の見直しは高校でも進む。南陽高(木津川市)は9月の文化祭は中止する。1年生は地域企業と連携した商品の開発・販売、2年生は演劇をしていたが密集、密接する状況が避けられないと決断した。ただ3年生のステージパフォーマンスは9月の体育祭に合わせた文化的行事として実施する計画だという。

 谷真也副校長は「集団の中で学ぶ教育的な意義が大きい行事だったが、地域住民も含めた安全のため苦渋の判断をした。ただ3年生は思い出が残るようにと考えた」と話した。

 私立の洛陽総合高(京都市中京区)も毎年6月に大阪市の京セラドームで行っていた体育祭や、10月に実施予定の文化祭の中止を決めた。

 その一方で12月に「文化発表会」のような活動を行い、生徒たちの制作物を展示する機会を設ける予定だという。

 小西生子副校長は「授業の日数を確保するため行事をしにくい面もあるが、文化的活動などはみんなで協力して一つのものをつくる教育効果もあるので、全くなしにせず別の形で開催してあげたい」とする。

 高校の学校行事は学習指導要領では特別活動の中に規定され、「集団への所属感や連帯感を深め、公共の精神を養う」などとされている。それだけに府教育委員会も「教育的意義があるので感染状況にもよるが、簡単に中止するのではなく何らかの形で実施してもらいたい」とする。

■「文化祭などが楽しみで学校選んだのに…」

 生徒からも学校行事は何とか実施してほしいとの声が上がる。京都市内の府立高3年男子(17)は「文化祭など学校行事が楽しみで学校を選んだのに、それがなくなれば、受験勉強だけの1年になる。卒業後もやり残したことがあるとの気持ちになるだろう。学校は安易に中止にしないでもらいたい」と訴える。

 そうした生徒の思いを直接聞き、学校行事の見直しに反映させようという動きもある。清明高(北区)の越野泰徳校長は6月下旬、生徒会の生徒6人とランチミーティングを行い、文化祭や体育祭をどうしたいか尋ねた。生徒からは「「文化祭はやりたい」「ステージ発表は体育館で行い、観客は各教室で中継を見れば」「体育祭もリレーくらいはできるのでは」と前向きな意見が出された。

 生徒会長の五十嵐玲さん(17)は「休校中はクラスの友人たちに会えなかったので、学校を楽しみたい。しかし、このまま行事が中止になれば思い出が残らなくなる。生徒会でもどうすれば行事ができるか探りたい」と話した。

 越野校長は「6月に学校が再開したが、活動は中止や延期、縮小ばかりになっている。学校行事は卒業年次生の最後の思い出になるので何とか力になりたい。学校だけで決めると生徒の気持ちも上向かないので、意見を聞いた上で最終的に私が判断をしたい」と語った。

昨秋に京都市内の運動会で行われた組み体操。今年は見直しをする学校もある(画像を加工しています)