国際宇宙ステーションを離れたクルー・ドラゴン、メキシコ湾に無事着水

クルー・ドラゴン着水の瞬間(Credit: NASA/Bill Ingalls)

2020年8月3日3時48分(日本時間、以下同)、スペースXの新型宇宙船「クルー・ドラゴン」がフロリダ州ペンサコーラ沖のメキシコ湾に着水しました。同宇宙船で打ち上げられて国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していたNASAのロバート・ベンケン(Robert Behnken)宇宙飛行士ダグラス・ハーリー(Douglas Hurley)宇宙飛行士の両名も無事帰還を果たしています。

ベンケン飛行士とハーリー飛行士を乗せて5月31日に打ち上げられた有人試験飛行ミッション「Demo-2」のクルー・ドラゴンは、同日中にISSへと到着しました。両飛行士はNASAのクリストファー・キャシディ(Christopher Cassidy)宇宙飛行士がコマンダー(船長)を務める第63次長期滞在クルーに合流し、ISSで62日間を過ごしています。滞在中、ベンケン飛行士はキャシディ飛行士とともに計4回の船外活動に従事。ISSのバッテリー交換作業や、ナノラックス社のビショップエアロック(10月30日に無人の「ドラゴン」補給船で打ち上げ予定)の到着に備えた作業などが行われました。

着水から間もなく回収船「GO Navigator」に引き揚げられるクルー・ドラゴン(Credit: NASA/Bill Ingalls)

8月2日8時35分にISSを離れたクルー・ドラゴンは、翌3日3時頃に大気圏へ再突入するための噴射を実施。機体は前述の通り3時48分にメキシコ湾へ着水し、ほどなくしてスペースXの回収船「GO Navigator」の甲板上に引き揚げられました。クルー・ドラゴンの試験飛行は今回のDemo-2が最後で、次の打ち上げは運用初号機による「Crew-1」ミッションとなります。回収された機体やミッションのレビューを経てNASAの認証が下りるまでに6週間ほどかかる見込みであることから、Crew-1の打ち上げは9月下旬が予定されています。

なお、今後打ち上げ予定のクルー・ドラゴンには宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士も搭乗することが決まっており、Crew-1には野口聡一宇宙飛行士が、来年2021年春に予定されている運用2号機「Crew-2」には星出彰彦宇宙飛行士が搭乗すると発表されています。

回収船上の機内で笑顔を見せるベンケン飛行士(左)とハーリー飛行士(右)(Credit: NASA/Bill Ingalls)

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Image Credit: NASA
Source: NASA(1) / NASA(2)
文/松村武宏

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