戦没者追悼式など中止や延期 慰霊にもコロナの影 記憶風化懸念 

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忠魂碑とその横に設置した戦没者名簿を見つめる高梁市玉川町遺族会の森末会長。4月の追悼式は参加人数を抑えて開いた

 岡山県内の戦没者追悼式や慰霊祭が新型コロナウイルスの影響で中止や延期を余儀なくされている。今年、自治体や社会福祉協議会が主催して開く予定だった16市町村のうち7市町が中止、2市が延期した。参列する遺族が高齢で感染リスクが高いことなどが理由。他も大幅に規模を縮小して行うケースが多く、戦後75年の節目に関係者は記憶の風化を懸念する。

 中止したのは、倉敷、備前、赤磐、瀬戸内、浅口市と和気、久米南町。10月に開催を予定していた倉敷市は、市遺族連合協議会の意向もあり、中止を決定した。中止は過去に例がないが、「感染拡大を防ぐためにはやむを得ない」(市福祉援護課)という。

 井原、笠岡市はそれぞれ5月と6月の実施を当面延期。今後の新型コロナの感染状況をみて開催の有無を含めて判断するという。

 一方、新庄村は今月10日、西粟倉村は同15日に通常通り開催する予定。両村とも会場が屋外で参加者も20~30人と少ないため、としている。

 参列者の制限や式典の簡素化を図って行う予定なのは、津山、玉野、新見市と里庄町。6月下旬に開催した岡山市も例年は市民会館(同市北区丸の内)で約1600人が参列するが、今年は会場を市役所に移し、参列者を16人に絞り込むなど大幅に規模を縮小した。

 高梁市は21ある地区ごとの遺族会が例年、それぞれ実施しているが、今年は開催見通しがたっていない地区が多いという。

 同市玉川町地区では、忠魂碑に刻まれた戦没者77人の名前が消えかかっていたため、今年、碑の脇に新たに戦没者名簿を設置した。4月にお披露目式と合わせて、参加人数を10人ほどに抑えて追悼式を行った。

 1歳の時、叔父がフィリピン沖で戦死した同町遺族会の森末萬治会長(76)は「追悼式は平和への思いを新たにする大切な場。高齢化が進み、式を開けなくなるという地区も増えており、コロナ禍をきっかけにその流れが加速しなければいいのだが…」と不安げに話した。