老舗塗料店、台湾料理店に「塗り替え」 金沢・尾張町の「森忠商店」旧店舗

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 創業約180年の老舗(しにせ)塗料店「森忠(もりちゅう)商店」(尾張町2丁目)の旧店舗が6日、台湾料理店として再出発する。金澤町家研究会を通じて大正初期の旧店舗を活用するテナントを募り、市内のギャラリー経営者が引き継いだ。町家の風情を残して改装したほか、同商店で使われていた塗料の紙ラベルも活用。旧店舗の歴史を伝える工夫をしながら、地元に根差した店を目指す。

 建物は1923(大正12)年から姿を変えておらず、尾張町の街並みに溶け込んでいる。外観を生かした改装を進め「森忠商店」の看板や金沢城を望むやぐら「望桜(ぼうろう)」はそのまま受け継いだ。

 1842(天保13)年創業の森忠商店は今年2月ごろ、表通りにあった店舗兼事務所が裏通りの倉庫と離れており不便だったことなどから、倉庫に店を移した。旧店舗の大部分が使われておらず、有効活用するテナントを探していた。

 新店となる「四知堂(スーチータン) kanazawa」は、市内でアンティークショップなどを営む塚本美樹さん(44)が手掛ける。全面オープンは今年10月以降となり、店の奥を台湾の創作料理を楽しめるレストランとする。

 3日は関係者向けの試食会が開かれ、近隣住民らが入り口そばの飲食スペースで、台湾で朝食として親しまれている豆乳スープなどを味わった。改装の過程で、明治から昭和初期ごろに森忠商店の商品に貼られていたラベル約1千枚が見つかったことから、一部を店内で展示した。

 森忠商店は江戸時代、測量家である伊能忠敬が宿泊した「住吉屋」があった場所だったため、店前に説明看板などが設置されていた。今後は店内で公開する予定で、塚本さんは「地域に溶け込みながら、新しい食体験を届けていきたい」と話した。