「絶対戻れる」励まし続け 5年ぶり優勝、照ノ富士の元付け人・中板さん

©株式会社北國新聞社

 大相撲7月場所で5年ぶりの優勝を果たした元大関照ノ富士が「中板さん」と慕うのが、兄弟子で長く付け人も務めた元幕下力士駿(しゅん)馬(ば)の中板秀二さん(38)=珠洲市飯田町出身=。信頼を寄せる中板さんには場所前、膝の状態が悪いことを明かしていた。「痛みは完全になくならないけど頑張る」。悲壮な決意が生んだ2度目の賜杯は、「奥能登の人情」で寄り添った元付け人にとっても格別だった。

 入門は照ノ富士より7年早かった。掃除のやり方や生活態度まで指導し、2人は厚い信頼関係で結ばれた。十両昇進時から5年、中板さんは付け人を務めた。初優勝や23歳での大関昇進もそばで支えたが、その後のけがや糖尿病で苦しんだ姿も見てきた。

 引退から1年が経つ今も連絡を取り合う仲だ。場所前、幕尻で臨む決意を電話で告げ、勝ち越しを決めた9日目にはメールで「おかげさまで勝ち越すことができました」と報告。都内で介護関係の仕事をしている中板さんは優勝の一番はラジオで聞いた。

 番付を下げ続ける照ノ富士は何度も「辞めたい」と弱音を吐いた。そのたびに、中板さんは「ガナ(愛称)が強いのは知っている」「やれば絶対に戻れる」と声を掛けた。奇跡とまで称賛された今回の優勝。「前回に優勝した時よりもうれしかった。本当に苦労していたからね」 昨年、中板さんの断髪式では、照ノ富士もはさみを入れた。引退を決意した背景には「僕が甘やかしている部分もある。いない方が彼が成長できる」との思いもあったという。

 中板さんは「やんちゃ。相撲も遊びも豪快。イケイケな姿をまた見せてほしい。まだ復活の途上だ」と今後の活躍を願った。