「本当にみんな経歴がぐちゃぐちゃ」自身も就職氷河期世代の採用担当者が感じたこと

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就職氷河期世代は、バブル崩壊後の景気後退に巻き込まれて厳しい就職活動を強いられた"不遇の世代"だ。派遣やバイトなどを転々とし、職歴が積めないことから現在でも職探しに苦労している人は多く、こうした世代のことを「自己責任だ」と突き放す人もいる。

ツイッターで最近、IT系の中小企業で採用担当をしているルバルさんの「本当にみんな経歴はぐちゃぐちゃ」という投稿が話題になった。聞けば、自身も1979年生まれの就職氷河期世代という。新型コロナウイルスの影響で"新たな氷河期世代"が誕生しかねない今、ルバルさんに同世代の採用実態について聞いた。(文:ふじいりょう)

10回以上の転職を経験したからこそ分かる"つらい思い"

ルバルさんの投稿では、

「同じ年位の方の履歴書や職務経歴書を見るんですが、本当にみんな経歴はぐちゃぐちゃ」
「僕だけかなって思ってたけど、全然ざらだし、それだけ今の40前後が、つらい思いで生きてきたんだなって」

などと採用活動を通じて実感した、同世代が経験している苦労について明かしている。

ルバルさん自身も高卒後、飲食系のアルバイトを経て、24歳でテレビ制作会社に就職。ADとして働きながら放送作家を志したが、1年で退職した。

その後は、求人広告のデザイナーやお笑い事務所のマネージャー、30代以降はウェブディレクター、アプリ開発ディレクター、コーディングなどを経験。派遣やバイト、フリーランスとしても働いてきた。10回以上の転職を経た後には、うつ病を罹患したこともあったという。

「社会全体に余裕がなく、仕事のできる人だけが重宝された」

このツイートやまとめには、多くのリプライが寄せられた。中でも「ぼつぼつやって年収400万望んだらなんでダメなんだよと怒りたい」「不況でも年収1500万程度の人もいるのだから、勉強やスキルが足りてないのは時代のせいではない」という両極端の声が印象に残っているという。

ルバルさんは、キャリコネニュースの取材にこう語る。

「時代による責任を指摘しつつ自身で落とし所を見つけた方もいれば、自己責任論の強い方もいて、それぞれとても考えさせられる主張でした」

世代間の認識の違いなのか、それとも就職氷河期世代の被害者面が気に入らないのか。この世代が経験している苦労が話題に上がると、いつも「時代のせいにするな」と自己責任論を唱える人がいる。ルバルさんは「私自身、秀でた能力があるタイプではなく、メンタルも強い方ではないので、自己責任を問われすぎると苦しくなる部分もあります」と重たい口を開き、

「10代の頃はまだバブルの余韻があって、社会全体に余裕があった気がしますが、20~30代は社会全体に余裕がなく、仕事のできる人やスペシャルな人だけが重宝されたイメージです。ただ、今後もその風潮は変わらないと思います」

と改めて当時の風潮を振り返った。

コロナで採用方針にも変化「新しい開発言語に対応できる若い世代を」

就職氷河期世代が40代を迎えたことで、採用の現場では「管理職も視野にいれた即戦力を企業側は求めている」といい、これまでに培ったマネジメント能力などを上手にアピールすることが鍵になってくるという。一方、次のような注意点もあるようだ。

「任される業務量がかなり多かったり、若手と老年の間で板挟みにあったり、誰もやりたがらない仕事を回される可能性も高いので、メンタル的に持つかどうかの判断は慎重にした方がいいです」

他方、この世代には複数の転職を重ねている人も多く、履歴書の職歴欄が"汚れている"人も多い。こうした人が転職をする際には「各々の転職の一貫性を持たせることが大事」と語る。

「私もよく転職面接で"何がやりたいんですか?"と聞かれました。面接官はやはりストーリーを重視していると思います。その人が歩んできたストーリーと会社が歩みたいストーリーが合致するかどうか。そこが合えば、職歴の多さはあまりハンデにならない気がします」

ところが、現在は新型コロナウイルスの影響を受け、現在は就職氷河期世代に限らず企業の採用意欲が鈍化している。ルバルさんの職場でも、

「現在はZoomでの面接となりましたが、会社の方針として30代を取りたいという方向になってしまいました。現在はエンジニア採用をしており『新しい開発言語に対応できる若い世代を』という方針に変わってしまっています」

と採用方針に変化が起きたという。それでも、ルバルさんは転職を考えている同世代に対して「自信を持って転職活動をしてほしい」とエールを贈る。

「同世代でも待遇が違って、意見や考えがまちまちだと改めて思いました。ですが、私もそうだったように、職歴が多いことや、病歴があったりすることで、絶対に自分自身を卑下してほしくないです」

特に、身内はなかなか定職に就けない当事者を心配するあまり、悪気がなくとも厳しい言葉をかけてしまいがちだ。ネット上では、誹謗中傷とも取れる心ない言葉が日々飛び交っている。こうした言葉を目にした時、ふとした拍子に心が折れそうになることもあるかもしれない。

だが、新型コロナウイルスの流行が長期化している現在、突然のリストラや派遣切りでどの世代にも"就職氷河期"を経験する可能性はある。不安定な情勢だからこそ、自身のダメな要素を数えるのではなく、ルバルさんの言うようにまずは自分を信じることが大切になってくるのだろう。