過去15年で最低水準「日本株の地盤沈下」を食い止められるか

米国では先週までで4〜6月期の決算発表がおおむね峠を超えました。コロナ禍での米企業業績は、前年同期と比べて大幅な悪化となりましたが、事前の市場予想は大きく上回りました。株価との関係を見る上では、あくまでも市場予想との比較が重要で、そうした観点では良好な着地と評価できます。

一方、日本では今週末にかけて決算発表は佳境を迎えます。決算内容への反応次第では、株式市場で上下に振れやすい相場展開が予想されるため、注意が必要です。


データが「日本株の出遅れ」象徴

7月の日本株は、国内で新型コロナウイルスの感染が再拡大を見せたり、為替の円高進行が顕著になったりするなかでも堅調さを維持しました。そうした底堅い相場展開からは、ワクチン開発の進展に期待を寄せながら、「with コロナ」のもとでの新常態を受け入れようとする投資家心理の変化を垣間見ることもできます。

しかし、昨年末との比較で気になるのは、世界における日本の株式時価総額の割合(時価総額ウェイト)が低下している点です。同じ期間で、米国や中国などの割合が上昇しているのとは対照的で、日本株の出遅れを象徴するデータといえるでしょう。

日本市場の存在感が低下しつつあることの背景として、これといった決定的な要因は見出しにくいものの、消費増税のダメージが癒えないなかで起きた新型コロナのパンデミックが、少なからぬ影響を与えている点は疑う余地もありません。

また、日本株にとってはオリンピックの延期がマイナスに作用した可能性は十分に考えられます。そして何よりも米国でのGAFA(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)のような成長企業の不在が挙げられると思います。

果たして、日本株の地盤沈下がこのままズルズルと進んでいってしまうのでしょうか?この問いに対する答えは、日本株の競争力や将来の成長力に依存する側面も大きいので、一朝一夕に結論は導き出せそうにありません。

日本株の時価総額ウェイトは下限に?

しかし、少なくともいえることは、現在の世界の株式市場における日本株の時価総額ウェイトは、過去15年間の最低水準にあるということです。かつては10%を超えていた時期もあった日本株の時価総額ウェイトは、最近では7%前後で推移しています。

ただ、それは見方を変えれば、日本株の時価総額ウェイトがおおむね下限に達しつつあるということに他なりません。過去にもそのウェイトが7%まで下がったところで反転上昇に向かった例があり、日本株にとっては一つの転換点となり得るポイントかもしれません。

日本企業の4〜6月期決算は今週後半にまとまった発表が予定されており、大きなヤマ場を迎えることになります。今期の日本企業の業績はそれなりに厳しいものとなりそうですが、来期に向けての回復度合いについては米国にひけを取らない水準が予想されています。

足元の業績悪化は甘んじて受け入れるとして、今後の見通しに明るさが広がるようであれば、日本株にも挽回のチャンスが巡ってくる可能性は十分にあると見ています。

<文:投資情報部 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和>.

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