「黒い雨」訴訟 原告勝訴 広島市など控訴断念を 長崎の被爆体験者が声明

広島の「黒い雨」や長崎の被爆地域の問題について話す岩永さん(手前中央)ら=長崎市役所

 国が定める広島の援護区域以外で原爆による「黒い雨」を浴びた原告全員を被爆者と認めた広島地裁判決を受け、本県の「被爆体験者」らは3日、広島市や広島県、厚生労働省に控訴断念を求める声明を発表した。控訴期限は12日。長崎市や長崎県、厚労省には被爆地域の拡大是正など抜本的な援護の見直しを求めた。
 被爆体験者は、長崎市の爆心地から12キロ以内で原爆に遭いながら、国が指定した「被爆地域」の外にいたため被爆者と認められていない。長崎市などに被爆者健康手帳の交付などを求める集団訴訟が続いている。
 被爆体験者訴訟の原告団長、岩永千代子さん(84)や支援者らは3日、長崎市役所で記者会見後、市に対し、広島市などに控訴断念を働き掛けるよう申し入れた。応対した原爆被爆対策部の中川正仁部長は、広島地裁判決で被爆体験者の課題解決に「少し光が見えた」と述べ、広島市などと連携を進めると答えた。

 


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