ソニー、第1四半期の営業利益は過去最高の前年度並みも、通期見通しはコロナ禍で大幅減益に

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■予見困難な環境変化への柔軟な対応が大切

ソニーは2020年度第1四半期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比432億円増となる1兆9,689億円、営業利益は過去最高を記録した前年度から微減となる同25億円減の2,284億円、四半期純利益は同811億円増の2,333億円となった。なお、前年同期の特定のライセンス契約締結に伴う特許料収入、今期のPledis Entertainmentの株式売却益、「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」にかかる費用の一時的要因を除く調整後の数字では、営業利益は同22億円増の2,252億円、四半期純利益は同844億円増の2,308億円となる。

2020年度 1Q連結業績

また、コロナの影響を合理的に見通すことが困難なため未定とし、第1四半期連結業績発表時に先延ばしされていた2020年度の通期見通しは、売上高が前年度比401億円増となる8兆3,000億円、営業利益が同2,255億円減となる6,200億円、当期純利益が同722億円減となる5,100億円とした。

2020年度 連結業績見通し

第1四半期のセグメント別業績では、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS;)分野は、売上高が1,486億円の大幅増収となる6,061億円、営業利益も502億円の大幅増益となる1,240億円と好調に推移した。自社制作タイトル『The Last of Us Part II』『Ghost of Tsushima』をはじめゲームソフトウェアが大きく寄与。プレイステーションプラス会員数は約4,500万人に到達した。今年度の見通しは、売上高が5,224億円の大幅増収となる2兆5,000億円、営業利益はプレイステーション5(PS5)の導入に伴う販管費の増加でほぼ前年度並みの2,400億円。生産も順調に進んでいるPS5の年末商戦期の発売に向けて、ユーザーエンゲージメントの強化・拡大を目指す。

2020年度 1Qセグメント別業績
2020年度 セグメント別業績見通し

音楽分野はコロナ禍での音楽制作および音楽出版の減収など、多くの収益源においてコロナの悪影響を受けており、売上高は251億円減の大幅減収、営業利益は34億円の減益となった。今年度は引き続きコロナの影響で減収減益を見通すが、ソニー(株)副社長 兼 CFO 十時祐樹氏は「新事業『Stagecrowd』のサービス開始や好調な新作モバイルゲームアプリ『ディズニー ツイステッドワンダーランド』など、今後の業績への貢献が期待される成果も出てきている」と指摘する。

ソニー(株)副社長 兼 CFO 十時祐樹氏

映画分野もコロナの影響により、映画作品・テレビ番組の制作に大幅な遅れが生じており、劇場公開延期に伴う業績への影響は2年から3年に及ぶと推測される。映画館の閉鎖による興行収入の減少で売上高は110億円減収の1,751億円となったが、営業利益は映画製作における広告宣伝費の減少に伴い244億円の大幅増益となった。2020年度の見通しは大幅減収・大幅減益とした。

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S;)分野は、コロナの影響でデジタルカメラやテレビの販売台数減少により、売上高は1,521億円の大幅減収で3,318億円、営業利益は342億円の大幅損益悪化で91億円の損失となった。サプライチェーンはほぼ復旧し、需要は回復基調にあり、十時氏は「地域別には、日本は好調、欧米も回復が早く、アジアと中南米でやや回復が遅れている。商品ジャンル別には、テレビは巣ごもり需要の影響もあり旺盛な需要が見られる一方、デジタルイメージングが厳しい局面に立たされるが、5月時点の見落としからは回復が早まっている」と説明する。2020年度の見通しは、売上高が1,213億円減収となる1兆8,700億円、営業利益は273億円の大幅減益となる600億円の見通し。なお、モバイル・コミュニケーションは第1四半期で110億円の黒字となり、通期でも黒字化を見通す。

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS;)分野は、こちらもコロナの影響などによるイメージセンサーの減収で売上高は245億円の大幅減収、営業利益も241億円の大幅減益となった。2020年度は売上高が706億円の減収となる1兆円、営業利益は1,056億円の大幅減益となる1,300億円を見通す。モバイル向けイメージセンサーは、全世界的な景況感の悪化により、スマートフォンでも特に得意とするハイエンド機種のセールスが落ちるなど、事業環境が変化したことでマイナス成長が予想される。モバイルセンシングでもスマートフォンメーカーでの採用に遅れが出ており、AV向けイメージセンサーもコロナの影響で市場が縮小する。これらの環境変化に迅速に適応するため、投資や研究開発の観点から事業戦略の調整・強化を図る構えだ。

十時氏は、現在の同社を取り巻く事業環境について「コロナの影響や米中摩擦による地政学リスクの高まり、自然災害などの影響は短期にとどまらず予見も困難。これら環境の変化に柔軟に対応し、臨機応変に取り組むことが大切」と訴えた。アフターコロナを見据えた重要な年として位置付け、グループ全体で250億円の構造改革費用を充てた。