「封じます」第3局の1日目終了 温泉街にはファンの姿「近くに来られただけで幸せ」

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初日の対局を終え、片付けた駒が入った箱を盤上に置く木村一基王位(手前右)。手前左は藤井聡太棋聖=4日午後、神戸市北区有馬町、旅館「中の坊瑞苑」(撮影・斎藤雅志)

 「封じます」。午後6時13分、木村一基王位(47)が短く告げ、1日目の対局が終わった。4日朝、神戸市の旅館「中の坊瑞苑」で始まった第61期王位戦7番勝負(神戸新聞社主催)の第3局。藤井聡太棋聖(18)は、木村が別室で封じ手用紙に次の手を書く間、翌日の局面を思い描いているような様子で盤と駒を見つめ続けた。

 午後6時、立会人の淡路仁茂九段(70)から、手番の木村は「次の一手を封じてください」と言われた後も熟考した。第2局で初めての封じ手を経験した藤井にとって、封じ手用紙が入った封筒を受け取り署名するのは第1局に続いて2回目。封筒に2カ所ずつ自然な所作で署名し、木村に返した。

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 対局場周辺でも配慮が見られた。有馬温泉街の商店主らでつくる「有馬商店会」が対局場近くの河川敷で夏期に連日開く「有馬涼風ビアガーデン」は、異なる名称で行われていた昨年までと同様、対局時間帯は大きな音を出さないよう協力。同会関係者は「対局に集中できるよう、静かな環境を保つための配慮は続けたい」と話した。

 会場周辺で対局者の姿を見られる機会はないが、近くにはファンの姿も。高校の同級生4人で訪れ、旅館前で記念撮影していた啓明学院高校の3年生(17)は「藤井棋聖の近くに来られただけで幸せ。会えなくても友達に自慢できる」と笑顔だった。

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 日本将棋連盟は、第61期王位戦7番勝負第3局で木村王位が書いた封じ手の用紙を希望者に販売し、売上金をチャリティーに役立てる。通常は2通作成する封じ手を、7月の第2局に続いて3通作成し、準備した。売上金は九州の豪雨被災地などを想定。第4局以降も同様の取り組みをする予定で、詳細は後日、日本将棋連盟のホームページで発表する。(井原尚基)