【高校野球】球速75キロ? “遅球”を武器に挑んだ夏 市原八幡のサブマリンが名門相手に奮闘

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市原八幡の主将兼エースの山崎寿明【写真:宮脇広久】

監督はしてやったり「相手は速い球を練習しているから、ハマるかもと」

高校野球千葉大会は4日、市原市のゼットエーボールパークなどで行われ、第8地区2回戦で県立市原八幡が拓大紅陵に2-11の7回コールド負けを喫した。市原八幡の主将兼エースの山崎寿明投手(3年)は“超遅球”で名門に立ち向かった。

夏の県大会の過去最高は1999年の4回戦進出で、大半は1~2回戦敗退の市原八幡と、春4回・夏5回の甲子園出場を誇る拓大紅陵とでは、実力差は歴然。それでも山崎は右アンダースローから、ストレート、スライダー、スローカーブを駆使し奮闘した。

1回の守備では2死二塁から、拓大紅陵の4番・小野寺が放った小飛球を中堅手が後逸し先制ランニングホームランに。これをきっかけに1回に3点、2回に5点、4回に3点を奪われた。5回表終了時点で2-11。その裏に1点でも取られれば、5回10点差コールドが成立するところだった。しかし、山崎は崖っぷちで粘った。

山崎も自身の球速について「測ったことありませんが、相当遅いと…」

5回は2死からの右前打1本に抑え、6回は先頭打者に内野安打で出塁を許したものの、後続を断ち0を並べた。結局7回表の市原八幡の攻撃が終わり、7回7点差以上のコールドが成立するまで粘った。6回を1人で120球かけて投げ抜き、13安打3奪三振5四死球11失点が高校最後の公式戦の投球内容となった。

特にカーブには、拓大紅陵の打者が待ちきれずに空振りしたり、ボテボテのファウルにするシーンがあり、スタンドから「80キロも出ていないのでは……75キロくらいじゃないか?」との声が上がった。

山崎は「球速を測ったことはありませんが、相当遅いと思います」と苦笑。大重監督は「拓大さんはレベルが高くて、いつも速い球を打つ練習をしている分、ひょっとしたらハマってくれるのではないかと思っていました。山崎本来のピッチングはしてくれたと思います」と、してやったりの表情を浮かべた。ただ、球が遅いのを突かれて、この日8盗塁と走りまくられたのは“両刃の剣”だった。

攻撃陣も4回に、2死二、三塁から安藤の中前適時打で2点を返した。「ペンチの雰囲気が非常に良くて、毎日この雰囲気で野球をやれたら幸せだなと思いました」と大重監督。5回コールドをギリギリで回避し、7回コールドにしただけでも、名門に挑んだ市原八幡ナインの間には一定の満足感が広がっていた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)