テラデータ×アプトポッド、自動車開発分野のDX支援で協業

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日本テラデータは8月4日、オンラインで記者会見を開き、産業IoTにおけるファストデータ(高速時系列データ)を手がけるアプトポッドと自動車開発分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるソリューションで協業すると発表した。

今回、アプトポッドの次世代IoT分野においてデバイス・サーバ間での高速なデータストリーム処理が可能な産業IoTミドルウェア「intdash(イントダッシュ)」の自動車向け遠隔データ収集パッケージ「intdash Automotive Pro」と、テラデータが提供する次世代データ分析基盤ソフトウェア「Teradata Vantage」を組み合わせ、自動車の各種センサから生成される短周期かつ膨大な制御・センサデータを収集し、顧客データやメンテナンス履歴データなど企業が持つさまざまなデータと組み合わせて高度な分析を行う包括的なデジタルソリューションを共同開発し、提供する。

同ソリューションは自動車開発におけるVプロセスを進化させることで、グローバル市場での競争力を高めることが可能。具体的にはクラウドベースの環境を使用し、自動車開発のモデルベース開発(モデル/仕様をベースにしたシミュレーションと試作車による検証で構成される開発工程)における、データの収集、管理、分析など開発工程の効率化を実現するという。

自動車開発では、モデル(仕様)をベースにした試作車による検証で構成される開発工程としてモデルベース開発が採用されており、この開発手法はロボット開発や医療機器開発などの先端分野でも活用が期待されている。

モデルベース開発の工程においては、シミュレーションデータとリアルデータを用いた検証や分析が必要とされるが、同ソリューションでは特に試験車両でのデータ収集・管理・分析など、工程を効率的に行うことができるクラウドベースの環境を提供し、開発工程の圧倒的な効率化を実現することで、自動車メーカーの開発競争力の向上を図る。

日本テラデータ インダストリアルサービス事業部 事業部長の石井誠人氏は「自動車業界ではコロナ禍以前からCASEやMaaSなど100年に一度の大きな変革期においてDXへの取り組みが進んでいる一方で、R&D;領域においては改善の余地が大きく残っている」との認識を示す。

その上で同氏は「自動車への開発投資は既存の項目に加え、さらなる顧客視点へのイノベーションシフト、短期間での価値創造が求められている。そのためには、従来の開発手法にデータ分析や自動化などの知見を追加することで、開発業務の効率化を図り、エンジニアが本来の価値創造業務に集中できる環境を整える必要がある。新ソリューションは両社の強みを掛け合わせることで自動車業界のR&D;業務において、データ活用の幅と深さを提供するとともにDXを推進する。自動車のビッグデータと企業の多様なデータを統合し、あらゆる部門でスピーディに活用してもらうことで開発業務の短縮化とコスト削減を実現することを目指す。また、自動車業界のみならず、産業IoTやロボティクスなど製造業界全般において貢献できると考えている」と力を込める。

また、日本テラデータ エンタープライズ・テクノロジーセールス事業部 プリンシパル・ソリューション・エンジニアの富髙弘之氏は、今回提供するソリューションについて「intdashとVantageを組み合わせることで分析者に高速・高精度・高頻度のデータを提供し、結果検証の高速化とアウトプット数の増加により、さまざまな知見が得られるため、設計との適合、要求定義の高度化をサポートする」と話す。

自動車開発における実験計測フローは試験走行→収集→処理→解析/分析→レポート作成→報告という流れだが、マニュアル作業の割合が多いためレポートまでをシームレスに行えないほか、結果として作業に集中することになり、データ分析などが困難になっているという。

富髙氏はソリューションに関して「実験車・試作車で取得したintdashのサーバを経てVantageと連携することに加え、Vantage自体は試乗車のコネクテッドデータや地図や気象情報をはじめとした外部データを集めてデータを拡張した上で、さまざまな分析ツールで簡単にアクセスし、分析できる。これにより、実験計測フローすべてをカバーすることが可能だ。また、データが整理整頓されているため常にデータを取り出して分析し、例えば制御などの評価を高速にできるほか、データ活用の支援など戦略的な面でもサポートする」と説く

主な機能は試験車両におけるデータ収集の遠隔リアルタイム化、自動化、時系列データ同期処理の自動化、Visual M2M による時系列データの可視化(リアルタイム、オンデマンド)、収集データのクレンジング処理、時系列データの空間マッピング、各種分析処理、関数計算処理の自動化、分析データの可視化など。

また、intdashによる車両データ収集機能とVantageによる4次元分析機能を組み合わせることで、経過時間や移動距離による車両の状態変化や気象条件による影響などを容易に可視化できるほか、Vantageが提供する機械学習、グラフ分析などを活用し、高度な分析が可能になるという。

具体的には、実車走行試験において特定地点での車体挙動を自動で可視化することによる操安性評価、実走行データからのRDEコース作成によるRDE試験のフロントローディングなどの開発業務への適用を想定している。

Vantageは、最新のデータ、アナリティクス技術に対応したモデータウェアハウス、データレイクの統合環境を実現するデータ分析基盤ソフトウェア。エンタープライズレベルのパフォーマンス、拡張性、可用性などを備え、企業が持つデータにアクセスし、各種言語、ツールを活用してマシンラーニングをはじめとした高度なアナリティクスで分析できる単一プラットフォームをクラウド(Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud PlatformまたはTeradata)、ハイブリッドクラウド、オンプレミスで可能としている。

一方、intdashは100ミリ秒~1ミリ秒間隔程度の高頻度で発生する時系列データを品質保証のないネットワークを経由して、高速・大容量かつ安定的にストリーミングするための双方向データ伝送プラットフォーム。産業IoTシステムで必要とされる高頻度データのストリーミング処理により、産業IoTシナリオを実現するために必要な要件をサポートするという。

さまざまな産業プロトコル、データフォーマット、メディアデータへの対応し、エッジからサーバまで、包括的なミドルウェアを提供することで、エッジ、サーバ間でのデータ伝送におけるストリームデータの完全回収(欠損回収処理)や効率伝送、流量抑制といった低遅延なデータ伝送を可能とし、クラウド(IaaS)からエッジコンピューティング(オンプレミス)まで多様な環境に導入・稼働が可能。

アプトポッド 代表取締役社長の坂元淳一氏は「intdashはリリースから2年で約30社、50のDXプロジェクト で採用されており、ユースケースとしては遠隔データ収集分析、MaaS関連システムなどだ。今回の新ソリューションは自動車分野における設計開発のワークフローは、メーカーが投資してデータドリブンな開発を行っているが、まだまだ課題はあるため解決策をテラデータとワークフローを構築した。オートモーティブや産業機械(建機・重機・農機・ロジスティクス)などのDXを支援することに加え、CASE化される新製品・サービス開発への貢献、スマートシティ、MaaSプラットフォームなどはデータの多角的な収集・分析のフローが必要となるため、多様な貢献をしていく」と話していた。