テレビ解説者・木村隆志の週刊テレ贔屓 第133回 『ザ!鉄腕!DASH!!』TOKIOの安心感と若手の伸びしろを楽しむ番組へ

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テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第133回は、2日に放送された日本テレビ系バラエティ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』(毎週日曜19:00~)をピックアップする。

深夜から日曜19時台のゴールデンに移って22年が過ぎた長寿番組だが、長瀬智也のジャニーズ事務所退所発表で、注目度も視聴率もグンとアップ。現在はどんな内容で放送され、今後はどんな未来が待っているのだろうか。

今回の放送は、106日ぶりに再上陸を果たす「DASH島」と、藻だらけになってしまった屋上池の水を抜く「新宿DASH」の2本立て。3人になる今後を踏まえるとTOKIOはもちろん、SixTONES・森本慎太郎、King & Prince・岸優太ら後輩ジャニーズの活躍が気になるところだ。

■「野生児シンタロー」の可能性

まずは「DASH島」のVTRからスタート。スタジオパートなどの説明的要素がない単刀直入な構成は、いかにも人気番組かつ長寿番組ならではか。

城島茂、草間リチャード敬太(Aぇ! group)、シンタローこと森本慎太郎(SixTONES)の3人が外出自粛明けで106日ぶりに上陸すると、豪雨による土砂崩れや倒木、水路崩壊、養殖池が緑一色になってしまうなど、ひどい状況だった。

1人で海岸側を歩きはじめたシンタローは、鋳造の木型に生えた植物の実をかじりはじめ、「苦い。しびれるぞ。これダメなやつじゃないか?」と顔をゆがめたが、何ともたくましい。これは食用に向かない「バカナス」と呼ばれるナス科のイヌホオズキだったが、テレビ朝日・ナスDばりのワイルドさを感じさせる。

一方、森側に向かった城島とリチャードは、約5㎝のオオスズメバチを発見。まもなく活動本格化の時期なのだが、城島には2012年に推定200匹を苦労して駆除した過去があった。このような経験とスキル、そしてVTRがすべて現在の番組に生かされている。効率化や経費削減が叫ばれがちな現在のバラエティで、「これほど継続性を感じさせる番組はない」と言い切ってもいいのではないか。

映像がシンタローに戻ると、イノシシの屍を発見し、「びっくりした!」を14回も連呼。映像はモザイクがかけられていたが迫力十分であり、4年前にも島に80kg級のイノシシが海を渡って上陸していた様子が紹介された。城島が「ハチとイノシシは一番危ないヤツじゃん」と話していたように、今回のポイントは「106日ぶりの上陸」「危険生物」の2点だったのだろう。

そう思っていたら、シンタローが拾ってきた「臭そうな漂着物のにおいを嗅ぐ」といういかにもバラエティ的なコーナーが始まった。しかし、決して悪ふざけではなく、「漂着物は魚や昆虫を呼び寄せるエサになるなど開拓に使える」という理由がしっかりあるのがこの番組らしい。

じゃんけんに負けたリチャードが茶色い液体の入ったペットボトル、2番目に負けたシンタローが韓国のスパム、勝った城島は中国の発酵食品・腐乳をかいで悶絶。なかでも、「何でも食べる野生児シンタロー」というキャラクターは、すでに制作サイドにとって計算のできるアクセントとなっている。

■「岸優太を絶賛する国分太一」の図式

もう1つの企画「新宿DASH」のロケは7月16日、梅雨の晴れ間に行われた。ここに登場したのがKing & Princeのリーダー・岸優太。池を見て「すげえ! 人間で作り上げられるんですね。今にも生き物が出てきそうです」とハイテンションで、さっそく濁った池の水を抜くための作業をはじめた。岸のファンでなくても、「どれだけ活躍できるのか?!」と注目してしまうなかなかの見せ場だ。

国分太一が合流して作業に入ると、埼玉県の自然豊かな場所で育った岸はすぐにアメンボやマツモムシを発見。すかさず太一が「水面にお尻をつけてるのは、空気を吸ってるんだよね」と語りかけ、岸も「めちゃくちゃ詳しいですね。いろいろ教えてください」と良き後輩のキャラクターを見せた。

さらに、太一が得意げに「何でも聞いて」と返すと、「その知識はこれから株式会社にも生かされるか?」というナレーションが流れる。「映像で何となく感じてもらう」のではなく、「ナレーションではっきりと番組のストーリー性を伝えていく」ほうが現在の視聴者に響くのだろう。

今回の目的は水をきれいにするだけでなく、太一が「僕らが丁寧に育ててきたんだけど、もう1年くらい見ていないんだよね」と心配するメスのイモリ・みゆきと、オスのイモリ・タモさんを助けること。そのイモリは東京23区の絶滅危惧IA種(最高ランク)であり、このような社会的意義もこの番組には欠かせない要素だ。

昨年6月以来395日間、行方不明というイモリ探しがはじまると、太一は「すごいわ、やっぱり若い力って」「リーダーより見つけるのうまいよ」「すごい戦力になるね、岸くんは」などと21歳年下の後輩を繰り返し称賛。ドロドロになって草の間を探す岸は「いやあ、楽しいです。本当に」と少年のような表情で応える。「TOKIOもこれくらいのときがあったな…」と思っていると、番組はそんな気持ちを見透かしたかのように23歳の太一を映した。

その後、2時間の作業でバテバテになった太一が休んでいるときに、岸が推定生後1カ月の赤ちゃんを発見する。このように「知識もスキルもあるが、加齢で無理が効かないTOKIO」「知識もスキルもないが、若くて無理が効く若手ジャニーズ」と感じさせる図式が何度かあった。TOKIOが教える立場に回ることに寂しさを感じる人もいるようだが、そんな姿が見られるのも、この番組ならではの魅力にほかならない。

■来春以降も楽しみのほうが大きい

結局この日はイモリのタモさんこそ見つけられたが、みゆきは見つけられなかった。しかし、26匹もの赤ちゃんを保護したことで、その母にあたるみゆきはどこかに潜んでいる可能性があるという。このように「無理に深追いはせず、真実のみを伝える」という姿勢も、この番組が支持を集める理由の1つではないか。

エンディングの映像は、城島がイモリたちのために藻の発生を抑制する“救世主”を探しにいく姿。都内住宅街の「100年前の姿を保つ水田」にその救世主がいる…「近日公開」という期待感を抱かせるムードで番組は終了した。

最近の放送を見ていると、「看板はTOKIOのままで、若手ジャニーズを絡めた番組になっていくのかな」と感じた人が多いのではないか。言い換えるなら、TOKIOの安心感と若手ジャニーズの伸びしろを楽しむ番組、世代間のギャップと融合を楽しむ番組。ゆくゆくは城島が“祖父”で太一と松岡昌宏が“その兄弟”、King & Princeらの世代が“父親”、これからジャニーズに入所する少年たちが“子ども”となり、3世代で番組を継続していく大河的な筋書きになっていくのなら、よりファミリー層の支持を集めるだろう。

願わくば、所属事務所の枠を超えてポテンシャルとモチベーションの高い若手タレントも抜てきしてほしいし、逆に番宣絡みのゲスト参戦をさせたら批判必至。ともあれ、すでにレジェンドとなりつつあるTOKIOのメンバーをベースにしつつ、「男たちが汗をかき、協力して目的を成し遂げていく」という軸さえブレなければ、ファンを失望させることはないはずだ。

2011年の東日本大震災で企画の大黒柱だった「DASH村」のロケが不可能となり、2018年にはメンバーの大黒柱だった山口達也がスキャンダルで降板。それらの危機にしっかり向き合い、前へ進む様子をドキュメンタリーとして見せてきたこの番組なら、新型コロナウイルスの猛威も、長瀬智也の退所も乗り越えていくだろう。

マイナビニュースのインタビューで、同番組のは「『株式会社TOKIO』の3人が企んでる壮大な野望と、僕らが『鉄腕DASH』で目指している未来は、ピッタリ一致してると思います。たぶん(笑)。だから今後も、この番組が彼らにとっての基地であり、プロジェクトを打ち出す発射台みたいな役割になっていきます」と語っていた。この言葉を聞く限り、心配より楽しみのほうが大きいのではないか。

■次の“贔屓”は…開始2年が過ぎネタ切れ対策は? 『坂上&指原のつぶれない店』

坂上忍(左)と指原莉乃 (C)TBS

今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、9日に放送されるTBS系バラエティ番組『坂上&指原のつぶれない店SP』(18:30~20:54)。

同番組は「なぜあのお店はつぶれないのか」「なぜあの店は儲かっているのか」の謎を解き明かすマネーバラエティとして2018年4月にスタート。当初は『東大王』、次に『消えた天才』、現在は『バナナマンのせっかくグルメ!!』と相手を変えながら、その大半を「隔週の特番仕様」という形で放送されながら固定ファンをつかんでいる。

今回の放送は2時間30分スペシャル。ファストファッションの「GU」、しゃぶしゃぶ食べ放題の「しゃぶ葉」、「〇〇すぎてつぶれないか心配なお店」を徹底調査していくという。スタートから2年あまりが過ぎ、「そろそろネタ切れか?」と不安視されがちな時期だが、どんな工夫が施されているのか。ますます芸能界の“ご意見番化”する坂上忍と指原莉乃のMCぶりも含め、掘り下げていきたい。

木村隆志

きむらたかし