NHKが経営計画案に意見公募 9月3日迄受付

 NHKは9月3日まで「2021年度~23年度の経営計画案に対する意見を」HPで募っている。

 NHKを巡っては加計学園問題、森友問題など安倍総理や総理夫人の名前があがった案件や辺野古問題など政府推進案件に忖度報道を指摘する声が一般視聴者からあがっている。加計問題、森友問題ではNHKでプロデューサーや報道記者として活躍してきた人物が放送法を巡る裁判で偽証罪に問われる場であっても、当時の報道局長や政治部関係者が「報道に待ったをかけた」と指摘するなど、国民に知らせるべき情報が届かない状況を強く懸念する声がでている。

 NHKの存在意義は最高裁が「受信料」に関し判決した中で示した「国民の知る権利を実質的に充足するため」に認められている。民主主義の根幹を支えるものだ。国民が公共放送としてのNHKに期待するのは広告主をはじめ、だれからも影響を受けることなく、公共放送機関として不偏不党、公平、公正に、時の政権にも鋭く切り込み「国民に事実を伝えること」。

 高市早苗総務大臣は4日の記者会見で「総務省としては公共放送としての役割を明確化した上で、事業規模を適正なものにすることなどをお願いしている」とした。

 NHK計画案は「減収局面でもコンテンツ投資を充実させ、視聴者・国民の求める多様性・質の高さを実現。職員1人ひとりの創造性を最大限に生かせるスリムで強靭な組織」を標ぼうした。

 NHKは「受信料で成り立つ」NHKとして「基本目標(放送法や社会的な要請を踏まえた普遍的役割・ミッション)は、すべての人に『安全・安心』と『正確、良質で多様なコンテンツ』を届け、信頼される『情報の社会的基盤』としての役割を果たし続けることと考える」としている。

 NHKは「波」別の個別番組管理から「ジャンル」別の総合管理への転換を行い「NHKならでは」のコンテンツやサービスに経営資源を最大限集中させ、衛星波の整理・削減を進める。新しい「NHKらしさの追求」と事業の再構築によるコスト構造の改革を同時に推進することで「スリムで強靭なNHK」へと変わり、受信料で支えられるNHKでしか創り出せない価値をしっかりと提供していく、と基本的な取組み姿勢を示した。

 具体的取組みのいくつかを拾うと(1)首都直下地震や南海トラフ地震など巨大災害にも充分に耐える放送・サービス機能維持のため、老朽化した各地の放送会館の建て替えなどを計画的に行うとともに、事業継続の観点から拠点放送局の発信を強化し、より強靭な体制の構築を図る。

 (2)高い専門性に裏打ちされ、深く奥行きのある「NHKらしく」見応えのある大型のシリーズ番組(自然・科学分野など)やコンテンツを、放送・デジタルそれぞれの特性に最適化しながら提供する。

 (3)国際放送のコンテンツを、放送だけでなく、インターネット配信を効果的に活用してきめ細かく内外に提供し、日本への理解促進や訪日・在留外国人に対する情報提供にいっそう資するようにする。

 (4)人口減少が進む地域を支えるため、地域発の情報発信の割合を大幅に増やすほか、NHKが取材・分析したデータや知見などを活用していただける取組みを進めるなど、全国ネットワークを最大限にいかし、日本の各地域の発展にさまざまな形で貢献する。

 (5)「NHKらしさ」を生み出す、職員一人ひとりの創造性を最大化するため、採用から退職まで、人事制度を抜本的に改革する、としている。

 収支計画では事業収入(受信料含む)を2020年度予算7204億円から各年度300億円減収の6900億円と予定。支出についても2020年度予算の7354億円から21年度は7150億円、22年度6950億円、23年度は6850億円としている。

 NHKは構造改革により3か年で630億円程度削減する計画。そのために(1)コンテンツ制作はNHK本体を中心とし、競争力を高めつつ制作の総量を削減し、番組委託費を見直す。

 (2)スポーツ放送権料などの絞り込み、NHK独自の仕様や現場部門からの要求に沿った、これまでの設備投資のあり方の見直し、シンプル化・集約化・クラウド化によるシステムの効率化などを進める。

 (3)営業経費では外部委託法人の集約化や委託費の見直し、訪問要員の削減などを進める。

 このほか、業務の徹底した簡素化、本部機能のスリム化・高度化、AIなどを(利用した事務の自動化・省力化、そして今後、業務委託が縮小していくことや定年延長を前提とした職員採用の規模の見直しなどを進めることなどをあげている。多くの国民が意見を寄せることが公共放送を公共放送に育てる上で不可欠。意見投稿や詳細はNHKホームページから。(編集担当:森高龍二)

NHKは9月3日まで「2021年度~23年度の経営計画案に対する意見を」HPで募っている。

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