2020大分県高校野球大会 今大会一番の番狂わせを起こした佐伯鶴城 左腕エースが奮闘

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2020大分県高校野球大会

準決勝  鶴城1−4大分舞鶴

準々決勝 鶴城1-0明豊

3回戦  鶴城4-3大分雄城台

2回戦  鶴城14-0大分東(6回コールド)

1回戦  鶴城11-1大分豊府(7回コールド)

 

 準々決勝で優勝候補筆頭の明豊に投げ勝った佐伯鶴城のエース蛭子凌太郎(3年)は、中1日で迎えた準決勝・大分舞鶴戦まで体力を回復できなかった。新チームになってから県内だけでなく九州でも公式戦負けなしの明豊を相手に、準々決勝では9回を無失点に抑え、金星を挙げた左腕に注目が集まった。

 

 準決勝は初回から走者を背負う苦しい立ち上がりだった。蛭子が「期待されているプレッシャーもあった。打たれても点を与えないピッチングをしようと低目にボールを集めた」と振り返ったように、これまでにないプレッシャーを感じながらも粘りの投球で舞鶴打線を封じた。

 

 蛭子が肩の異変を感じたのは4回を投げ切った時だった。抜け球が多く、ボールカウントが増えた。自己最速136㌔のストレートと鋭い縦のスライダーで狙って三振を取れた決め球がコントロールできない。連投で握力も奪われていた。さらに大分舞鶴の新名凌馬(3年)のテンポの良い投球により「攻撃の時間が短く、休む時間が少なかった」(蛭子)ことも要因だ。

明豊戦で完封した蛭子凌太郎

 それでも「本調子ではなかったがウチのエースは蛭子。行けるところまで投げてもらった」(山本敏博監督)。監督の思い、チームの勝利のためにと投げ抜いた。当初の予定だった6回を投げ抜いたが、7回についに力尽き降板。蛭子は「納得のいく交代だった」と、その後はベンチから大きな声で仲間を鼓舞した。

 

 2年の春にエースナンバーをつけたが、けがが多く背番号1を譲ることもあった。走り込む量を増やし、フォームや自分の投球を見直した。昨秋にエースとして復帰。今大会の一番の番狂わせとなった明豊戦では、各打者のデータを分析して、キャッチャーの平井駿介(3年)と配球を考えた。野手は各打者の打球方向を分析して、一球ごとに守備のポジショニングを動かすなど綿密に研究した。蛭子は「どんな強い相手でも準備を怠らず、徹底すれば勝てることを知った。決勝まで残れなかったのは悔しいが、力を出し切ったので悔いはない」と清々しい表情で言い切った。山本監督は「アイツのおかげでここまで勝ち上がった。お疲れさま、本当にありがとうと言いたい」とエースに賛辞を送った。

綿密な野球を遂行した佐伯鶴城

(柚野真也)