バランス取れた教科書の採択を 在日本大韓民国民団支部、川崎市に要望

 川崎市立中学校の教科書採択を23日に控え、在日本大韓民国民団県川崎支部(同市川崎区)と南武支部(同市中原区)は4日までに、植民地支配や侵略戦争を美化、正当化するかのような教科書を採択しないよう求める要望書を、市教育委員会の小田嶋満教育長宛てに提出した。

 両支部は要望書で、国際化の進展で多国籍、多文化の家庭が身近になり、その子どもの多くが日本の学校で学ぶ現状を説明。多様性が尊重される地域社会の実現や、外国人市民が共に生きる社会を構築するために「目配りのきいた教科書」を採択するよう求めた。

 具体的には、史実に基づいて国際社会の平和と連帯に寄与でき、外国をルーツに持つ生徒や外国籍を有する生徒との対話や相互理解を増進するとともに、「歴史をあるがままに伝え、成功事例に加えて失敗の教訓をどう未来に生かしていくか」を考えさせる「バランスの取れた教科書」とした。

 川崎支部の朴容正(パクヨンジュン)団長は「多国籍の人たちが住み、多文化共生社会の実現に取り組む市の現状に沿った教科書を採択してほしい」と訴えた。

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