国家公務員はモチベーションを保ちづらい? 若手男性官僚の7人に1人が「数年以内に辞職したい」と回答する背景

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国家公務員なのに辞めたい?

30歳未満の男性官僚の7人に1人が、数年以内に辞職する意向であることが内閣人事局の調査で分かった。調査は昨年11~12月に各府省庁に勤務する国家公務員の3割を対象に実施し、4万4946人から回答を得た。

性年代別に勤務継続の意向を聞いたところ、「3年程度のうちに辞めたい」「1年以内に辞めたい」「すでに辞める準備中」のいずれかを回答した30歳未満男性は14.7%で、全性年代中最多だった。

国公労連「クリエイティブな部分は求められない。物足りなさ感じる人もいるのでは」

辞職したい理由を聞くと、30歳未満男性の最多は「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたいから」(49.4%)。次いで「収入が少ないから」(39.7%)、「長時間労働などで仕事と家庭の両立が難しいから」(34.0%)などが続いた。

一方、30歳未満女性のうち、数年以内に辞職する意向を固めているのは9.7%。理由には「長時間労働などで仕事と家庭の両立が難しいから」(47.0%)と回答する人が目立ち、次いで「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたいから」(44.4%)が多かった。

日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)の九後健治書記長は、キャリコネニュースの取材に「興味を持って調査結果を見ていた」と語る。特に、若手男性の辞職意向が高い傾向については「国家公務員の仕事内容はひょっとしたらモチベーションが保ちづらい側面があるかもしれない」と見解を述べる。

「国家公務員の仕事はいつもトップダウンで降りてくるのが基本。一から立案するといったクリエイティブな部分は求められないので、物足りなさを感じている人もいるのではないでしょうか」

また、国家公務員の間では「一度転勤を経験しないと出世できない」といった風潮もあるといい、若手社員が合理性を求めるあまりに「『理屈が分からない』『納得できない』と考えている人も多いでは」と話した。

新型コロナで業務量が増えているのに人員は変わらない、という状況

国家公務員の定員上限は法律で定められており、これを上回る採用を行うことはできない。内閣人事局は法に基づき、毎年審査して定員を決めているが、近年は業務量に関係なく、継続的に定員削減が実施されており、現場の職員は長時間労働など負担が増しているという。九後書記長は

「私は50代半ばですが、若手の時にはわりと自由に休みを取得したり、職場の雑談を含めたコミュニケーションもあった」

と振り返る。ところが、度重なる定員削減に伴い、多くの職場で業務過多の状況に一転。辞職意向の理由にみられた「長時間労働などで仕事と家庭の両立が難しい」という声はまさにその一端と言えるかもしれない。

また、公務員であるがゆえに多くの業務をこなしても昇給を望むことが難しい。にもかかわらず、国家公務員の仕事は「税金の無駄遣い」などと国民の批判に晒されたり、「安定している」などと言われるのが嫌なのでは、と推察している。

同調査の実施期間は昨年だが、これ以降も新型コロナウイルスにより状況は悪化している。テレワークの標準化を掲げ、多くの職場では「出勤は3~5割にしましょう」と呼び掛けているが、自宅でできる仕事ばかりではなく、多くの職員は板挟みの状態にあるという。

特に窓口業務のあるハローワークや法務局などは、自己研鑽や業務マニュアルを作るといった仕事に限られ、できない業務が大半だという。ハローワークは、助成金の窓口などを兼ねており、仕事量が増えているにもかかわらず限られた人数で回しているのが現状だ。在宅で出来なかった仕事分を出勤した日に片付けることなどを強いられ、「テレワークで(労働環境は)むしろ過酷になったと思います」と語った。

また、中国からの帰国者やダイヤモンド・プリンセス号の乗客案内に国家公務員が当たったのも記憶に新しい。割り当てられた担当者からは「感染予防用のマスクや手袋が足りないまま業務に当たった」という声も挙がっているといい、こうした業務に見合った処遇がないままでは若手職員がモチベーションを保てないのもうなずけるという。

国公労連としては引き続き、政府に対して定員増などの体制確保を求める。九後書記長は「育児休暇や介護休暇でさえ、みんな遠慮しながら取得しているのが現状。若手職員の働きづらさは定員が少ないからと考えているので、働きやすい環境実現を目指して声を挙げていきたい」と抱負を語った。