BBC、報道で人種差別語を使用 判断を擁護

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BBCが報道番組で人種差別の言葉を放送したとして、苦情が寄せられている。BBCは、言葉の使用について編集の立場を擁護する一方、不快な思いをさせたことを認めている。

この番組は、7月29日にBBCのニュースチャンネルなどで放送されたもの。ブリストルで起こった人種差別事件に関する報道の中で、事件で使われたとされるNワード(黒人に対する差別的表現)を使用した。

BBCは、この事件でNワードが使われたことを報じる目的だったとし、被害者の家族もこの判断を支持していると説明した。

通信業界の監視団体Ofcomにはこれまでに384件の苦情が寄せられており、謝罪の要求も出ている。

一方BBCは、今週中にも苦情に関する報告書を発表する予定で、それまでは直接寄せられた苦情件数は公表しないとしている。

問題となった事件は7月22日、国民保健サービス(NHS)職員の22歳の男性が、職場近くのバス停に向かう途中で車にはねられたというもの。この男性は「K-Dogg」という名前でミュージシャンとしても活動しているが、脚や鼻、頬骨などの骨折する重傷を負った。

この男性をはねた車に乗っていた人物らが人種差別的な言葉を使っていたことから、警察は人種憎悪に基づく犯罪として扱っている。

これまでに4人が、殺人未遂などの疑いで逮捕されている。

被害者家族の願い

BBCは問い合わせサイトに掲載した声明で、「この放送が攻撃的になってしまったことは受け入れるが、なぜこうした決定を行ったかを理解してほしい」と説明した。

声明によると、被害者家族から「被害者のけがの写真を使ってほしいと頼まれた。また家族には、車に乗っていた人物らが使ったとされる人種差別の言葉を全て報道すべきだという決意があった」という。

「こうした被害者家族の願いとは独立した形で、BBCは文脈を伝える上でこの言葉を使うことが編集上許されるかどうかを考慮した」

「この言葉がテレビで放映されることは滅多にない。今回は他のすべての案件と同様、この言葉をそのまま使うかどうかについて、幹部を含む編集チーム全体で決定した」

BBCの説明に怒りの声も

ソーシャルメディアでは、BBCは公式に謝罪するべきだという声が相次いでいる。

Shavaさんはツイッターで、「BBCニュースは、誰かを攻撃した時に『許可をもらった』と言い訳している。最悪だ!」とコメントした。


時計「ヴィタエ・ロンドン」のウィリアム・アドアシ最高経営責任者(CEO)は、「BBCはテレビの生放送でNワードを使うことを支持し、正当化している。単純にげっそりするし、エネルギーの無駄づかいだ」と述べた。


イギリスで仕事を持つアフリカ系・カリブ系女性の団体「InfluencHers」はBBCに対する公開書簡を発表し、「Nワードを繰り返し使う目に余る行為」について「公式に謝罪するべき時」だと訴えた。

書簡では今回の報道番組のほか、BBCのドキュメンタリー番組「American History's Biggest Fibs(アメリカ史最大のうそ)」についても言及。この番組は2019年に放映された後、最近になって再放送されていた。

「BBCが、奴隷制度や植民地時代を生きた人たちの子孫や、今も存在する人種差別の犠牲者たちが最も尊厳を傷つけられる恐ろしい言葉を安易に使うことに、私たちは動転し、傷つけられ、攻撃されたと感じている」

「この言葉は、私たちが子ども時代やそれ以降にも投げかけられる言葉だ。受信料を払っている放送局が安易にこの言葉を使い、それを強制的に聞かされることに反対する」

ドキュメンタリー番組でプレゼンターを務めた歴史家のルーシー・ウォーズリー氏は、ツイッターでNワードの使用は「受け入れられるものではなかった」と謝罪している。

(英語記事 BBC defends use of racial slur in news report