朝鮮で油井の探査掘削などを行う自行掘削船を建造 朴奉珠国務副委員長が造船所をたずね激励

リョンナム船舶修理工場を訪れ工場幹部と協議、激励する朴奉珠国務委副委員長

朝鮮で、自行掘削船が建造されていることがわかった。

「労働新聞」は4日付で、朝鮮労働党の政治局常務委員である朴奉珠国務委員会副委員長がナムポ(南浦)市の経済建設状況を見て回る中で、ナムポテギョン水産事業所とリョンナム船舶修理工場を訪れ、自行掘削船建造で堅持すべき姿勢を強調したと報じた。「労働新聞」は朴奉珠副委員長の動静を伝える短い記事ながら、建造中の掘削船と見られる船舶上で、造船所幹部と協議、激励する副委員長の写真も掲載し伝えた。

「労働新聞」によれば、朴奉珠副委員長は「自行掘削船の建造で科学技術的要求を徹底して守り、設備制作を運営者的見地で行い、船の修理に必要な部品も工場で生産保障」することについて言及した。

掘削船はドリルシップ(Drillship)とも言われ、掘削設備を備えた船。主に深海において新しい油井の探査掘削を行ったり、科学探査を行ったりするために用いられることは広く知られている。

朝鮮で自行掘削船を建造するのははじめてで、その目的が油井の探査掘削や科学探査以外に用いられるとは考えにくい。朝鮮では以前からダイヤモンドビットも自身で制作、石油用のボーリングなどに使われるスリーコーンビットも作っている。

新たに建造される掘削船と油井の探査掘削との関連は、公式発表がないため定かではないが、朝鮮における石油探査、試掘の歴史は長い。

今まで朝鮮の該当部門が発表したところによれば、石油またはガスが埋蔵されている可能性が高い地域として、東海 (東朝鮮湾) のウォンサン(元山) 沖、 西海のナムポ(南浦)沖、 咸鏡北道のキルジュ(吉州) とキョンソン(鏡城)、 平安南道のオンチョン(温泉) とアンジュ(安州)およびピョンヤン(平壌)近郊。このうち最も有望なのが、西海とアンジュ(安州)盆地。試掘により西海とアンジュでは油徴が幅広く確認されているためだ。

朝鮮における石油の埋蔵はほぼ確実視され国際的にも注目を浴びてきたが、様々な要因によって採掘までには至っていない。韓国からも以前から共同開発への希望が示されてきたが、政治的、軍事的に対立する朝米、南北関係の現状は開発を妨げ来たと言える。

しかし、アンジュ近辺では少量ながら石油が採掘されているとの説があるばかりか、朝鮮での、石油の探査、採掘に関連する科学技術の目覚ましい進歩により独自開発の可能性が高まっている。

朴奉珠副委員長がリョンナム船舶修理工場を訪れていることから、自行掘削船の建造完了は近いとみられ、今後の動向が注目される。(了)

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