かかりつけ医でPCR検査可能に 仕組みや狙いは?

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、長崎県医師会(森崎正幸会長)は地域のかかりつけ医でPCR検査が受けられる体制を整えました。早ければ、来週には検査が始まります。県医師会への取材を基に、仕組みや狙い、課題を整理しました。

 -希望すれば誰でも検査を受けられますか。
 発熱やコロナを疑う呼吸器症状がなくても、体調が悪いなど感染が疑われる何らかの症状がある場合などに、医師が総合的に必要と判断すれば検査を受けられます。

 -自己負担はどれくらいですか。
 公的医療保険の適用対象で、初診料などを自己負担し、投薬などの有無により異なりますが、千円程度になります。検査料の自己負担分は公費で賄われます。全く症状がなく、陰性を確認するためなど、自己都合で検査する場合は、保険適用されず自費で2万~3万円が必要です。

 -どんな仕組みですか。
 県医師会は、地域の会員医療機関に代わり、感染症法に基づく「行政検査」の委託契約を一括する「集合契約」を県などと結びました。集合契約は、厚生労働省が6月、医療提供体制を整備するために全都道府県に呼び掛けた取り組みです。検査には、感染防止策や検査体制が確保されている医療機関が、自主的に手を挙げて参加します。県医師会は検査体制の一つとして唾液の検体を採取して長崎大学病院に搬送し、検査する方法も準備しました。

 -どこのかかりつけ医でも検査は受けられますか。
 医師会所属の医療機関で検査ができるようになりますが、感染防止策や検査体制が整った医療機関で、委託契約の委任状を県医師会に提出した医療機関でしかできません。

 -検査に参加する医療機関はどれくらいですか。
 県医師会所属の医療機関は約1130あり、同会は3、4割以上が参加することを期待しています。院内感染や風評被害を心配して検査に参加しない医療機関もあるとみられ、同会は100%参加すれば、風評被害はないと考えています。

 -検査体制を整備した狙いは何ですか。
 医師会の会員から多数、要望がありました。医師が患者の感染を疑い、検査が必要と判断しても、帰国者・接触者相談センターに断られたり、電話がつながらなかったりするケースがありました。国の方針を受けて妊婦の検査体制を整備する必要もありました。

 -長崎大学病院の検査能力は1日最大544件で、11月以降は同1120件に拡大される予定です。検査能力は十分ですか。
 現状では十分対応できるとしています。万が一、長崎大学病院などでクラスター(感染者集団)が発生すれば受け入れ能力に余裕がなくなるので、検査能力の拡充は今後の課題です。

 -検査を増やすと陽性と確認される人が増えることも予想されます。県内のコロナ患者用の病床や軽症者を受け入れる宿泊施設は十分ですか。
 同会は、今回の検査体制で見つかるのは無症状者が多く、無症状者はいったん入院した後、宿泊施設に入るので病床を圧迫することはないとみています。宿泊施設のベッド数は現在157ですが、県に拡充をお願いしたいとしています。

 


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