「大事なの、ここど」 ずっとライバルだったWエース 最後の夏に交わした感謝

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7回のピンチで、胸をたたいて與古田美月(右)を鼓舞する上間玲於=1日、名護(我喜屋あかね撮影)

【涙の跡】美里工の與古田美月・上間玲於

 「大事なの、ここど」。1日にあったKBCとの準決勝、3-0の七回無死満塁で迎えたピンチ。美里工業先発で三塁の守備に回った上間玲於が、後を継いだ與古田美月に向かって自分の胸をたたいた。劣勢の場面だからこそ、「強気」を思い出してほしかった。

 ずっとライバル関係だった2人。中学3年の時、與古田は上間が美里工に入ると聞き「中学で1番の投手。刺激を受けたい」と同校への入学を決めた。上間も中学の練習試合で與古田に抑えられた経験があり、「いい投手になるなと。美月には最初からライバル意識があった」と振り返る。

 秋は上間が、春は與古田がエースナンバーを背負い、最後の夏は選手間の投票で與古田に託された。上間が全試合で好投を続けた一方で、大会中にフォームを改良し、肩を痛めた與古田は悩んでいた。「ダブルエースでかっこいいなと思っていたのに、今は上間が1人で投げている。自分勝手なんだけど、悔しい」

 3試合ぶりの登板となった準決勝で、與古田は2回を持たずに2安打3四球で降板。流れは傾き、チームは逆転負けした。「エースとしての仕事ができなかった」と涙しながら、「切磋琢磨(せっさたくま)できて良かった」とライバルの存在に感謝した。

 試合を終え、集合写真に並んで写る2人の表情は晴れやかだ。競い合えた仲間がいたから、笑顔で終われた高校生活最後の夏。実感を込めて、上間が言った。「この夏に成長できたのは、あいつがいたから。ありがとうしかないです」(我喜屋あかね)