豪州SC:ブリスベンの“ホットスポット”指定でダブルヘッダー戦を再調整へ。TCRにも暗雲

 7月18~19日の週末にシドニー・モータースポーツパークでの第3戦を実施したVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーは、続く第4戦『ダーウィン・トリプルクラウン』を控えた8月5日に声明を発表し、同市に位置するヒドゥン・バレー・レースウェイを含むノーザンテリトリー州政府(NT州政府)により、シドニーやブリスベンが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)“ホットスポット”に指定されたことから「第4戦の開催を1週間延期する」ことを決定。続く週に追加設定されていた新規スーパースプリント戦も日程を改めることとなった。

 2020年改訂版カレンダーで8月8~9日に設定されたシリーズの名物イベント『ダーウィン・トリプルクラウン』を開催予定だったヒドゥン・バレー・レースウェイだが、同地を管轄するNT州政府によりチームの強制検疫や往来の規制が強化されたことを受け、開催日程の変更を余儀なくされた。

 スーパーカーの一行がシリーズ再開戦としてレースを実施した南東部ニューサウスウェールズ州のシドニーや、東部クイーンズランド州のブリスベンが、COVID-19の第2波による感染者急増で、同国最北端に位置するNT州政府より“ホットスポット”に指定されたことを受け、オーストラリア第3の都市ブリスベン近郊に拠点を構えるTriple Eight Race Engineering(レッドブル・レーシング・オーストラリア)や、VASC連覇中のスコット・マクラフランが所属するDJR Team Penskeなど、クイーンズランド州都を本拠とする多くのメンバーが州境往来規制の対象としてリストアップされた。

 シドニーでレースを終えた一行は、いち早くオーストラリア北部に向け移動を開始しており、ほとんどのトランスポーターはNT州入りしていたものの、チームメンバーやシリーズ関係者のチャーターフライトが断続的に延期されたため、その多くが14日間の隔離を受ける必要に迫られた。

第3戦の週末に急遽2週連続開催がアナウンスされていたことで、1週延期の判断が可能になったとも言える
シリーズは限定した観客動員を表明しすでにチケット販売も開始していたが、無観客化される公算が高まってる

 こうしたCOVID-19再拡大の状況を受け、関係する州政府の保健当局やオーストラリア政府とも交渉を続けて来たスーパーカーだが、シリーズCEOを務めるショーン・シーマーは「イベント開催延期の決定は、NT州政府との入念な協議の上で下されたものだ」と説明した。

「直近の数日間にわたる集中的な議論の結果、NT州政府と関連する保健当局の指示により、今週末のイベントを7日間延期することを決定した。これはダーウィン市街を含むノーザンテリトリー全体の人々とより広いコミュニティの健康と福祉を確実に保護するための決断だった」と語ったシーマーCEO。

「スーパーカーと協力して、この最北部でのイベント実現に向け奔走し、最後まで計画策定に尽力してくれたNT州政府と保健当局に感謝したい。また今季のチャンピオンシップに向け、柔軟な態度で支援を続けてくれているすべてのチームとファンにもお礼を言いたい」

「この決定により、我々が第3戦の週末にアナウンスしたトリプルクラウンに続く新規スーパースプリント戦との“ダブルヘッダー”のスケジュールも見直されることになる。ただし(8月29〜30日にクイーンズランド州で予定される)タウンスヴィル・スーパースプリントを含む今後のイベントに関しては、スケジュールに影響しないものと考えている」

 こうした情勢を受け、同国で2年目のシーズンを迎えるTCRオーストラリア・シリーズもカレンダーの再改定を予定し、現時点で9月4〜6日予定だった開幕戦シドニー・モータースポーツパークと、9月12〜13日の第2戦サンダウンでのレースが延期される見込みに。

 これにより、10月開幕にリスケジュールされた再々改訂版カレンダーが「今後数週間以内に」アナウンスされる予定となっている。

ヒドゥン・バレー・レースウェイ側も、レース消化スケジュールの柔軟性を高めるべくナイトレースでの対応も可能だとしている
同じく、開幕戦と第2戦の開催延期が決定的となったTCRオーストラリア・シリーズ

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