平和と音楽

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 今もガラス片が刺さったままだという。無数の傷があるに違いない「被爆ピアノ」が、きのうの「広島原爆の日」の式典で演奏された。高校生が奏でて、別の生徒が歌を重ねる。その調べは美しく、切なくもある▲何事かをじかに訴えなくても、人の心に響く。何かを思わせ、想像させる。音楽にはそんな力があるらしい。原爆の日、終戦の日が巡ってくる8月は、その「何か」が「平和」であることの多い頃だろう▲さだまさしさん、バンド湘南乃風のメンバー新羅(にら)慎二(若旦那)さんらが出演する平和祈念音楽祭がきょう午後6時から、長崎市の稲佐山公園野外ステージである。長年この時期に、さださんが平和コンサートを開いた山で、音楽の力が発せられる▲タイトルを「Japanet presents 被爆75周年 長崎から世界へ平和を -稲佐山音楽祭2020-」という。テーマそのものだろう▲主催するジャパネットホールディングスのグループ会社は「平和のメッセージを引き継ぎ、発信したい」としている。感染症の脅威にも覆われる折、「平和」の2文字が重みを増す▲無観客で開き、BSテレ東で生放送される。音楽を通じ、遠く離れた人と人とが心の内で手をつなぐ。平和の願いを明日につなぐ。二つの「つなぐ」を感じる夜になるといい。(徹)