新上五島町長選終盤情勢 街宣に力 浮動票鍵か 馬込候補、県議など8期実績強調 石田候補、雇用創出訴え浸透図る

新上五島町長選のポスター掲示板。新人同士が一騎打ちの選挙戦を展開する=同町

 投開票が9日に迫った新上五島町長選は、元県議の馬込彰候補(67)と、同町の前副町長の石田信明候補(65)=いずれも無所属新人=が一騎打ちを展開している。前回は無投票に終わり、8年ぶりの選挙戦。高齢化が進み、経済も疲弊する島で、人口減少対策が主な焦点となっている。
 同町の人口は約1万8600人。旧5町が合併した2004年当時の約2万7千人から減少を続けている。高齢化率は約42%で、県内自治体の中でも上位。基幹産業の漁業などは後継者育成が課題となっている。
 馬込候補は町政の「流れを変える」と6月中旬に出馬表明。子育て支援策をメインに据え過疎化防止を目指す。島全体の自然環境を整備し訪問者を増やす観光振興も訴える。県議5期、旧上五島町議3期の実績を強調。「住民の4人に1人がカトリック」とされる同町で自身が信徒であり、カトリック票にも期待する。
 石田候補は現職の江上悦生氏(73)が今期で引退する考えを示した約1カ月後の4月中旬に出馬表明。計約180の建設や水産などの関連団体から推薦を受けた。雇用創出による経済基盤の安定などを訴え、支持拡大を図る。陣営幹部は「長い行政経験で培った町と国県とのパイプを武器にしたい」と力を込める。
 新型コロナウイルス禍の現状に鑑み、両陣営とも感染拡大防止のため集会開催によるアピールは控え、街頭宣伝活動に力を入れている。
 合併後も地縁血縁のつながりが強い土地柄で、浮動票の取り込みも勝敗を分けそう。投票率は12年が78.62%だった。両陣営とも今回は70~75%と、高齢化の進行に伴い若干下がると推測。当選ラインは6千~6500票と見込まれる。有権者数は1万6480人(男7731、女8749)=3日現在、町選管調べ=。

© 株式会社長崎新聞社