「紫式部文学賞」に直木賞作家・中島さん 受賞作「夢見る帝国図書館」

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第30回紫式部文学賞を受賞した中島京子さん

 女性による文学作品に贈られる「第30回紫式部文学賞」に、直木賞作家・中島京子さん(56)の小説「夢見る帝国図書館」(文芸春秋)が決まった。主催する京都府宇治市と同市教育委員会が6日、発表した。  

 同市が源氏物語の舞台であることにちなんだ賞で、受賞者には200万円が贈られる。今回は2019年に刊行された64作品が出版社などから推薦された。贈呈式は11月22日に同市折居台の市文化会館である。  

 受賞作は、作家志望の「わたし」が出会った年上女性から図書館が主人公の小説を書くよう提案され、始まる。東京・上野で明治期に設けられた日本初の国立図書館の歴史をつづる部分と、戦後を生きたその女性の人生を「わたし」が追う部分が呼応して進む。

 受賞作発表の記者会見で、国際日本文化研究センター名誉教授の鈴木貞美・選考委員長は「図書館に関するエピソードと、女性の人生の謎を追うミステリー的な要素が平行しながら展開する仕掛けが面白く、読み味が豊か」と講評した。

 中島さんは「この小説には明治以降の作家が多く登場するが、自分が物書きをするにあたり、先達の仕事に負う大きさを感じた。今回の受賞は諸先輩から励ましを受けたようで、光栄」とコメントを寄せた。  中島さんは東京都出身で東京女子大卒。出版社勤務を経て、2003年に小説家デビューし、10年に「小さいおうち」で直木賞を受賞した。