接待伴う飲食店 コロナ対策徹底を 県が訪問、自己点検促す 店側は「これ以上は無理」との諦めも

オーナーの青山さん(左)に聞き取る県職員ら=長崎市、ニュークラブ月ノ雫

 接待を伴う飲食店で全国的に新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が多発しているのを受け、長崎県は6日、対策の徹底を促すため店舗訪問を始めた。リストを配り、自己点検してもらう。一方、店側は“第2波”で再び客が減少。さらに対策を強化する店もあれば、「これ以上は無理」との諦めも漏れ聞こえる。
 大声で会話しないよう周知しBGMを小さくしている-。県が業界団体のガイドラインを参考に作成したセルフチェックリストには、こうした16項目が並ぶ。客も把握できるよう店内掲示を求める。
 訪問は帰省客が増える盆前に、アポを取る間もなく急きょ実施。接客の間隔が近いと感染リスクが高まるとして、キャバクラなど12市町の218店を対象とした。立ち入り調査のような強制力はなく「あくまでガイドラインの周知と支援が目的」という。
 長崎市の歓楽街では6日、県と市の職員がペアを組み、「トラブル防止のため」(県)に警察官も同行した。船大工町の「ニュークラブ月ノ雫」はオーナーの青山輝満さん(66)が聞き取りに答え、全16項目を満たした。「検温して高熱だったお客さまの入店を断ったこともある。今は来客も少ないから密にならない」と話した。
 周辺の店も感染対策に頭を悩ましている。
 船大工町のスナックは県外客の入店を断っている。カラオケは2メートル以上離れて歌うよう求め、マイクには使い捨てカバーをつける。銅座町のスナックは、徐々に戻りつつあった客足が県内でのクラスター発生後に「ぱったり。2、3人の日もある」。営業中もドアを定期的に開け、換気扇を回す。客には手指消毒させ、間隔を空けて座ってもらう。それでもオーナーの女性(67)は悩む。「感染者を出したらレッテルを貼られる。だけど、これ以上何をしたらいいのか分からない」
 「対策を取るにも限界がある」と銅座町のスナックの60代ママ。常連客から「マスク姿を見て飲みたくない」と言われ外した。換気や消毒には気を配るが、客入りは平年の半分。「いっそ休業要請を受けた方が楽」とこぼす。
 浜町のガールズバーは5日からフェースシールドを導入。県の補助金で空気清浄器も購入した。一方で、対策が不十分な他店の情報を客からよく聞く。オーナーの30代女性は「営業できる基準を明確に行政が定めてほしい。そうせずに感染が広がったら、真面目にやってる店がばかみたい」と強い口調で求めた。

 


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