なぜ3割しかサステナブルな商品を買わないのか

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青木氏、コーアン氏、星氏、木下氏

「サステナブルな商品を買いたい」そう願う人はすでに7割近くいるという。しかし、実際に消費行動に反映している割合は3割に留まる。「原因はなにか。ブランドとして何ができるのか」という問いを追求するトークセションが、サステナブル・ブランド国際会議2020横浜の分科会で開催された。(やなぎさわまどか)

サステナブル・ブランド ジャパン(SB-J)の青木茂樹アカデミックプロデューサーがファシリテーターとなり「企業は生活者に何を伝え、どう巻き込むべきか」と問いかけた。トップバッターには、市場調査を専門にするインテージから星晶子マーケティング室広報マネージャーが登壇した。

星氏は、SB-Jとインテージが合同調査したサステナブル消費の現状に関して紹介した。2年前(2018年)の調査と比較し、SDGsの認知度は高まり、中でも「取り組むべき目標」として目標13「気候変動に具体的な対策を」が上位に移るといった結果が見られる一方で、具体的な消費や生活行動にはばらつきが見られた。調査の中で策定した「サステナブルな行動45項目」を日常的、全般的に実施している人は全体の4割弱に止まっていた。

続いて、サステナブル・ブランド(SB)創設者のコーアン スカンジニア氏から、同じく欧米で行ったトレンド調査の結果とともに「社会事情の変化によって消費者の興味や価値観そのものに変化が見られる。もはやリッチ(豊か)の定義も変化し、よりシンプルで個々の価値観を重視する人が多い」と紹介した。企業からユーザーに向けた提供価値も同様で、「お金持ちになることが目的ではなく、企業として意味のあることこそ求められている」と話し、個人の力もいまや世界に向けて影響力を持つようになったこと、さらに、ブランドとしてのクリエイティビティを確立する重要性を説いた。

またSBが米国で始めた「#Brands For Good」というイニシアティブも紹介された。マーケティングの力でサステナブルな消費行動を生み出そうとするもので、英ロンドンに拠点を置く電通イージスのほかP&G、VISA、ナショナルジオグラフィック、ゼネラル・ミルズなどが参画する。電通・CSR推進部の木下浩二氏は「今求められている価値観は、自然との繋がりを感じられることや、複雑に見える現代社会でどうシンプルに暮らせるかということ。そして、個人の快適さと社会的意義を両立できる消費行動が世界的なトレンドに定着した」と、調査から判明した現状について紹介した。

どの調査でもおしなべて「7割の人がサステナブルな商品を求めていると答えているが、実際に買うのは3割」というのが現状。しかし、ここで見落としてはならないことは、過去と比べると「3割にも達している」ことだ。例えばプラスチックストローの不使用、SDGsの推進キャンペーン、徐々に進みつつあるレジ袋の有料化などは確実に消費者や市場に届き、その結果がこの微増に表されている。エコやサステナブルなど、目標志向の動きはどうしても意識先行型になりやすく、なかなか「おしゃれ」や「かっこよさ」が追いつかずにきた。しかし壇上の4人からは、今こそ消費者の声をていねいに拾い、さらなる一歩を大きく進める必要がある、とブランド側が秘める可能性、マーケティングの力で消費行動を変化させていくことの重要性が語られた。