「足下では下げ止まり」だが、コロナの今後に注意 山口財務事務所の7月の県内経済情勢

 財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、「県内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるものの、足下では下げ止まりの動きがみられる」と、2020年7月の「山口県内経済情勢」を総括判断。「新型コロナウイルス感染症の影響により、経済活動が抑制され、足下で下押しされており、厳しい状況にある」とした前回(4月)から上方修正した。

 各項目を見ていくと、まず「個人消費」は、「ドラッグストア」で飲食料品や日用消耗品など、「ホームセンター」で工具や資材など、「家電大型専門店」でパソコンなどの販売が堅調で、前年を上回った。その一方、「百貨店・スーパー」で衣料品など、「コンビニエンスストア」でカウンターフードなど、「乗用車」で軽乗用車などが低調で前年を下回っているが、足下で来店客数や売り上げに持ち直しの動きがみられる。

 次に「生産活動」は、「化学」は、品目によってばらつきはあるものの、引き続き高めの操業。「窯業・土石」は、都市部における再開発向けの需要があり、おおむね横ばい。「鉄鋼」も、建設資材向けの需要はあるが自動車向けが鈍化しておりおおむね横ばいだ。「輸送機械」は、経済活動の再開により、足下では下げ止まりつつある。

 「雇用情勢」は、有効求人数・新規求人数が減少しており、「新型コロナウイルス感染症の影響により、弱い動きがみられる」と判断した。

 また「設備投資」は、製造業では「化学」などで減少、「石油・石炭」「食料品」などで増加し、全体では前年度を上回る。非製造業では、「小売」などで減少し、前年度を下回る見込みだ。

 さらに「企業収益」は「減益見込み」、「住宅建設」は「前年を下回る」、「輸出」は「前年を下回る」とした。

 調査対象企業からは「外出自粛により、冷凍食品やパスタなど保存できる食品や掃除用品などの売り上げが大きく伸びた」(ドラッグストア)、「自宅で過ごす時間が増えたことから、家庭菜園やDIY関連商品が堅調」(ホームセンター)、「テレワークやオンライン授業が普及したため、パソコンが堅調」(家電大型専門店)、「外出自粛や時短営業により来店客数が減少し、店舗のレストランや衣料品の売り上げが大きく減少。緊急事態宣言の解除後は、ファミリー層など一部の客層で売り上げが戻ってきている」(百貨店)、「緊急事態宣言が解除されて以降、オフィス街や繁華街などの周辺店舗では減少していた来店客数や売り上げが戻ってきている」(コンビニエンスストア)、「メーカーの工場の稼働が低下していることから商品の入荷が遅れている。受注台数は落ちていないため、納期の遅れが解消されれば売り上げは戻る見込み」(自動車販売店)、「生産調整を行っていた品目も、海外取引先の稼働率上昇を背景に生産が徐々に戻ってきており、全体ではほぼフル生産」(化学)、「都市部における工事中断等の影響により出荷を一時的に抑制していたものの、工事が再開されており、今後もフル生産を継続する予定」(窯業・土石)、「宿泊客数が大幅に減少したことから、休館日を設け、従業員を休ませている」(宿泊・飲食サービス)、「受注が減少しており、人手が過剰気味」(その他製造)などの声が聞かれた。

 「先行き」については「感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくなかで、各種政策の効果もあって、厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待される」とした上で、山口県内における感染者も増えている中「新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響に十分注意する必要がある」としている。

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