「ホカバのライバルは今日の友」【私のホカバ時代・平野早矢香】(第2話/全5話)

写真:平野早矢香/撮影:田口沙織

卓球には、バンビ・カブ・ホープスというカテゴリーがある。
小学2年生以下がバンビ、4年生以下がカブ、6年生以下がホープスにあたる。卓球界はその小学生カテゴリーを“ホカバ”と総称することが多い。

この年齢層強化に着手し、競技力強化に成功してきた日本の卓球界にとって、全日本卓球選手権ホープス・カブ・バンビの部は、日本代表、そして世界で戦うための“登竜門”に位置付けられている。
現在の日本代表である水谷隼石川佳純丹羽孝希平野美宇、伊藤美誠らも歴代優勝者として名を連ね、張本智和は6年連続優勝、福原愛氏に至っては驚異の7年連続優勝(5歳でバンビの部史上最年少優勝)を飾っている。

ロンドン五輪卓球女子団体銀メダリストで、現在「卓球ジャパン!」(BSテレ東にて毎週土曜夜10時放送)MCの平野早矢香氏は、どんな小学生時代を過ごしたのだろう。
番組でも全日本ホカバで活躍した長崎美柚と木原美悠の登場があるということで、いつも番組ではゲストの話を掘り下げる平野氏自身の小学生時代の話を聞いた。

初めて全国2位になって、意識が変わった

__――平野さんが全日本ホカバで最も覚えている大会っていつの大会ですか
平野早矢香(以下、平野)__:小学2年・4年・6年の時はそれぞれよく覚えています。2年生のバンビ、4年生のカブでどちらも全国2位、ホープスは5、6年どちらもベスト8だったんですけど。

__――小学2年生から全国2位だった
平野__:2年生の時はあれよあれよと勝ち上がって2位だったんですね。県では優勝してましたけど、全国で優勝するために卓球を始めたとかではなかったので、2年生の時に初めて全国で2位になって、そこで大きく意識が変わったような感じでした。

そのあとの自分の卓球人生を大きく左右する年だったかなと思います。

写真:平野早矢香氏/撮影:田口沙織

逆に、特に6年生の時は、集大成という形で優勝狙いにいったんですけど、4年生のときの結果よりも落ちる形でベスト8でした。

ちょうど同じ年代、同じ栃木県に杉田早苗さんっていう強い子がいたんですけど、5、6年生のときは同じチーム(城山クラブ)で一緒にやってて、彼女が日本のトップで、私は2番かそれ以下。常に同じチームに自分の最大のライバルがいたっていう関係でした。

6年全日本ホープス最後の試合は、同じ時間にさなえちゃんの試合があり、クラブのコーチがいなくて。代わりに私は、お父さんにベンチに入ってもらって、で、その試合で負けてしまった、そんな記憶です(笑)。

県外の試合に行くのがすごく楽しみで、お菓子買い込んで(笑)

__――ご両親はどんな指導だったんですか
平野:__両親も卓球してて、私が卓球を始めたきっかけでもありました。でも、そんなにスパルタではなく、どちらかというと、まあ卓球はあなたが好きで、習い事のひとつでやってるだけだから、ちゃんと勉強してねっていう感じでした。

学校で出された宿題をしないと練習連れていかないってスタイルだったので、あまり卓球に対して怒られるとか厳しいってことはありませんでした。

写真:平野早矢香氏/撮影:田口沙織

小学生の時は、日本一になるっていうモチベーションよりも、県外の試合に行くのがすごく楽しみで。いろんな場所にいって、お菓子買い込んで、遠足じゃないですけど(笑)、いろんな子と友達になりました。

当時から私、手紙を書くのが好きだったので、文通をしたりして、そういう卓球で広がったご縁がすごく楽しかった。普通の小学生だったら県外に友達ができるってあんまりないと思うんですけど、私はやっぱり卓球をしていたことで、世界が広がったなと思います。

人生どこでどうなるかわからない

__――ちなみに、小学生の時の最大のライバル、杉田早苗さんは今は何をされてるんでしょうか
平野__:三児の母です!

一、二年前、小学校の時の東アジアホープス代表選手10人くらいが集まって、そのときに久しぶりに会ったんです。

みんなで集まってご飯食べて、卓球台もあったのでちょっと打ってみようということになり、みんな本気でサーブ出したりドライブかけたりしてました。中にはフォア打ちですらうまく打ててなかった人もいて、酔っ払ってるからだよね?(笑)なんて言いながら盛り上がりました。

写真:平野早矢香氏/撮影:田口沙織

そこで集まったメンバーの中には当時私よりも強かった人もいたわけで、まさか私が一番長く現役を続けるなんて思っていませんでした。人生どこでどうなるかほんとわかりませんよね。

写真:平野早矢香氏/撮影:田口沙織

当時ライバルだった杉田さんは、結婚して子供が3人いてお母さんとして頑張っている、私は独身で子供もいないですが、選手生活を全うし今でも卓球に関わるお仕事をさせてもらっている。

今は全く違う人生を歩んでいますが、どれが正解ということはないですよね。

選手時代は対戦することが多くライバルでしたが、今となればすごくいい思い出であり楽しい話。

これこそがスポーツの良さだなと改めて感じます。

<「今の状況で大切な二つのこと」【私のホカバ時代・平野早矢香】(第3話/全5話)に続く>

「卓球ジャパン!」放送概要

写真:長﨑美柚(写真左)と木原美悠(写真右)/提供:BSテレ東

放送局

BSテレ東

日時

毎週土曜夜10時
8月8日(土) は夏休みSPとして、“Wみゆう”長﨑美柚と木原美悠が登場!

出演者

武井壮
平野早矢香
竹崎由佳(テレビ東京アナウンサー)
<8月8日(土) ゲスト>
長崎美柚、木原美悠

取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)

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