社説:少年法改正 国民の理解得られるか

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 大人として扱うか、子どものままなのか、分かりにくい。賛否両論の苦渋の折衷案と言えようか。

 少年法の適用年齢引き下げの是非を議論してきた法制審議会の部会が、事実上引き下げを見送り、18~19歳を中間層として上下の世代と異なる扱いをすべきだとの法改正に向けた要綱案をまとめた。一定の厳罰化を図り、起訴された段階で実名報道も解禁するという。国会の場で国民の理解が得られるよう議論を深めてもらいたい。

 要綱案では、18~19歳で罪を犯した場合、全て家裁に送致し、家庭事情などを調査する仕組みは維持する。一方、現行法は故意に人を死亡させた重大事件に限り家裁から検察官に送致(逆送)する仕組みだが、これに強盗や強制性交などを追加する。

 法制審は9月にも最終案をまとめ、要綱を法相に答申する。法務省は来年の通常国会に改正法案を提出するとみられる。

 民法の成人年齢が2022年4月に引き下げられる。少年法改正は、成人年齢の整合性を図るのが狙いだ。法相が17年、適用年齢の18歳未満への引き下げと、事件を起こした18~19歳の刑事手続きを法制審に諮問した。

 だが法制審は、処罰より教育と更生を重視する少年法の規定から18歳と19歳を外していいのかという点で意見が割れ、結論が見いだせない状況が3年半も続いた。

 並行して少年法改正を検討していた自民、公明両党は7月末、20歳未満を維持しつつ、18~19歳を厳罰化することで合意した。

 法制審に残された時間は、法案作成や国会審議を考慮すれば限られる。年齢引き下げの議論を棚上げにし、自公案をおおむね追認したとも言える。政治に先導される形で、与党が敷いたレールにそのまま乗った異例の展開だけに生煮え感が否めない。

 更生の妨げとなる実名報道への懸念も拭えない。「18歳の高校生を実名で報道すれば、復学の道を閉ざし、就職にも影響する」といった意見にも真摯(しんし)に耳を傾けねばなるまい。

 「刑罰を受ける責任を自覚させることになる」として年齢引き下げと厳罰化を求める被害者感情は無視できない。

 とはいえ子どもたちの保護や立ち直りに主眼を置く少年法が果たしてきた役割は大きい。「非行は減少し、現行法は機能している」として厳罰化への危惧も根強い。

 何のための法改正か。拙速な妥協案では、賛否の立場双方に不満が残るに違いない。