給付奨学金の適格認定って?どんな場合に奨学金の廃止や停止が起こる?

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給付奨学金の適格認定の基準

「奨学金継続願(貸与型・給付型)」の提出にかかる書類は、毎年12月頃に、学校から交付されます。対象の学生は全員必ず提出します。インターネット経由で提出(入力)された「奨学金継続願」の記入内容と、平素の学業成績等を総合的に審査し、奨学金継続の可否を学校が判定します。

「奨学金継続願」を提出しないと、奨学生の資格を失い、4月以降の奨学金は振り込まれません。とても大切な手続きです。必ず期限までに提出することが大切です。初めての方は継続願の入力方法などについて、学校で開催される説明会には必ず参加しましょう。

「給付奨学金継続願」を提出(入力)すると学校は3つの観点から適格認定を行い、給付奨学金継続の可否を判断します。

■適格認定の基準

(1) 人物について

生活の全般を通じて態度・行動が給付奨学生にふさわしく、修学の目的及び将来の展望を持っており、将来良識ある社会人として活動し、将来的に社会に貢献する人物となる見込みがあること。

(2) 学業について

修業年限で確実に卒業または修了できる見込みがあること。

(3) 経済状況について

修学を継続するために引き続き給付奨学金の支給が必要と認められること。

(※出典:奨学生の適格認定に関する施行規則第9条)

給付奨学金の適格認定に基づく判定結果

前述したように、適格認定に必要な書類が期限までに提出されない場合には、奨学金の貸与を継続する意思がないものと見なされ、奨学生としての資格を失います。

また、手続きを行った場合でも、学業不振等の場合には「廃止」・「停止」の処置等により、奨学金の交付の取り止めまたは停止の処置等を受けることがあります。

つまり、継続願を提出しても必ず継続して奨学金が給付されるわけではありません。日頃の学業にしっかり取り組むことが大切です。

■適格認定の判定結果

(1) 廃止

給付奨学生の資格を失わせるとともに、次のいずれかに該当するときは、廃止の事由が発生した年度の始期までさかのぼり、その間に交付した給付奨学金を返還させる。

・学業成績が次条第3項の表に定める給付奨学生適格基準の細目のうち、廃止区分の1の項に該当するとして廃止の処置を受けた者のうち、当該学業成績がやむを得ない事由によるものであると認められないとき

・学校内外の規律を乱したなどの理由により、次条第3項の表に定める給付奨学生適格基準の細目のうち廃止区分の2の項に該当するとして廃止の処置を受けた者のうち、学校処分の内容が除籍、退学、無期停学または3ヶ月以上の有期停学であるとき。

(2) 停止

1年以内で在学学校長が定める期間、給付奨学金の交付を停止する。ただし、停止の事由が継続している場合は、当該停止期間を経過後1年を限度として在学学校長が定める期間、停止を延長する。

(3) 警告

・ 給付奨学金の交付を継続する。

・学業成績の向上に努力するよう指導するとともに、学業成績が回復しない場合、次回の適格認定時以後に給付奨学金の交付を停止し、または給付奨学生の資格を失わせることがあることを警告し指導する。

(4) 継続

給付奨学金の交付を継続する。

(5) 復活

給付奨学金の交付を復活する。

(※出典:奨学生の適格認定に関する施行規則第10条)

具体例

学業不振により卒業延期が確定した場合や当該年度の修得単位(科目数)が著しく少ない場合には「廃止」または「停止」の処置がとられます。どのような場合に「廃止」「停止」になるのか具体的に確認しましょう。

給付奨学金は学業成績が著しく不振、停学等の学校処分により交付が打ち切られた場合には返還の義務が生じる場合がありますので、学業をおろそかにしないことがとても大切です。

■廃止

1.学業成績が次のいずれかに該当し、当該学業成績がやむを得ない事由によるものでない、または成業の見込みがない者
(1) 卒業延期が確定した者
(2) 当年度の修得単位(科目)数が標準的な修得単位(科目)数の1/2以下の者
(3) 前号の規定にかかわらず、在学学校長が当年度の修得単位(科目)数が著しく少ないと認めた者

2.次のいずれかに該当する者
(1) 「給付奨学金継続願」を提出しなかった者
(2) 在学学校で退学・除籍の処分を受け学籍を失った者(ただし、授業料未納による退学・除籍処分は、異動(退学)として取り扱うものとする)
(3) 学校内外の規律を著しく乱し、在学学校で1ヶ月以上の停学の処分を受けた者
(4) その他、給付奨学生としての責務を怠り、特に給付奨学生として適当でない者

3.第8条第1項第2号に掲げる者(停止区分の3の項に該当する者として停止の処置を受けている者に限る)であって、その者の生計を維持する者が市町村民税の所得割を課されている者

4.第8条第1項第2号に掲げる者(停止区分の3の項に該当する者として停止の処置を受けている者を除く)であって次のいずれかに該当する者
(1) 停止の事由が継続している者のうち、1年以内に当該事由が止む見込みがない者
(2) 停止の処置を受けている期間が継続して2年を経過した者
(3) 在学学校長が指定する日までに停止期間の終了に伴う交付再開を願い出ない者

■停止

1.学業成績が次のいずれかに該当する者
(1) 学業成績は廃止該当者と同じであるが、当該学業成績がやむを得ない事由によるものであり、かつ、成業の見込みがある者
(2) 学修の意欲に欠ける者
(3) 仮進級となった者

2.廃止に該当しない者のうち、次のいずれかに該当する者
(1) 在学学校で1ヶ月未満の停学その他の処分を受けた者
(2) 学校内外の規律を乱し、給付奨学金の交付を停止させることが適当である者

3.経済状況について次のいずれかに該当する者
(1) 生計を維持する者が市町村民税の所得割を課されている状態が2年間継続した者
(2) 生計を維持する者の市町村民税の所得割額(生計を維持する者が2人いる場合は2人の合計額)が20万円を超える者

4.第8条第1項第2号に掲げる者であって停止の事由が継続している者のうち、1年以内に当該事が止む見込みがある者
(※出典:奨学生の適格認定に関する施行規則第11条)

給付奨学金を利用して進学を考えている生徒は進路をしっかり考えよう

進路への意識や進学意欲があれば、家庭の経済状況にかかわらず、大学や専門学校等に進学して学べるよう、令和2年4月から高等教育の修学支援新制度が始まりました。

対象となるのは、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の方で、入学金・授業料の減免と返済義務のない給付奨学金が支給されます。経済的な理由で進学を諦めていた生徒にとっては朗報です。

一方、基礎学力が身についていない生徒を受け入れる大学等も多いのが現実です。

学修の意欲が高くなく、また、明確な進路への意識もなく、安易に高等教育の修学支援新制度を利用して進学した場合、「雰囲気が自分に合わない」「イメージしていた学部・学科の内容と違う」「授業についていけない」などのミスマッチが起こり、最悪、退学することになります。

給付奨学金は学業成績が著しく不振、停学等の学校処分により交付が打ち切られた場合には返還の義務が生じる場合があります。

給付奨学金を利用して進学を考えている生徒は、何のために進学するのかなど進路についてしっかり考えた上で高等教育の修学支援新制度の利用の可否を判断しましょう。

「すぐに社会に出るのが不安だから」「自由な時間を得たいから」「周囲の人がみな行くから」などといった安易な目的意識で高等教育の修学支援新制度を利用して進学するのはお勧めしません。

執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー