親子で実践したい「おこづかいルール5カ条」

子どもにお金の大切さや金銭感覚を学ばせたいとおこづかい制度を導入している家庭は多いと思います。私が講師としてお話をさせていただく時には、参加者の皆様に「子どもにおこづかいをあげているか」について質問をさせて頂いています。

実感では、小学3年生以上の7割くらいの家庭がおこづかいをあげています。また、今はあげていないがこれからあげたいという家庭がほとんどです。

小学生中学年になれば、おこづかいをあげている家庭がふえていきますが、家庭でのルールは何か決めていますか。約束ごとを決めておかないと、その都度解決をしなければならなくなります。また、親の対応が毎回違っていては子どもが振り回されてしまいますし、親への信頼度はガタ落ちに。

そこで、おこづかいを始めるために、家庭でのルールを決めておきませんか?今回は、わが家の「おこづかいルール5か条」を紹介します。


わが家のルールは5つのみ

ルールはいくつでもいいのですが、子どもが覚えられる数がいいと思います。わが家では5つとしました。

【ルール5か条】

1 お金の貸し借りはしない

2 お金は鍵がかかる場所に保管

3 本当にほしい(必要)かどうか、3日間考える

4 失くし物は探す

5 困ったときこそ親に相談する

どれも当たり前の事柄なのですが、大切なことはなぜこれを約束としてルールに入れるのか、その理由です。

理由がきちんとなければ、約束事態が無意味になりますし、せっかく約束ごとを守るのですからその行動が無意味になってしまいますよね。

そこで、守ってほしい約束とその理由は何かを考えてみましょう。

5か条とその理由とは

ルール5か条のその1は、「お金の貸し借りはしない」

借りることは、なぜダメなのかというと、借り癖を付けないことと、我慢をすることを経験させるためです。たとえば、今月のおこづかいがピンチだとします。

そうすると、来月のおこづかいを前借したいと考えることでしょう。ここで、子どもが親に交渉し、親は「今回だけだよ」という条件で前借させたとします。親にしたら、本当に今回だけのつもりでも、子どもにとっては「(しめしめ)次もこの手が使えるぞ」と考えるのです。

社会人になって、手もとのお金が足りなくなっても、会社は翌月の給与を前借させてはくれません。我慢を経験しないと、前借できない代わりに、キャッシングや消費者ローンなどでピンチを切り抜けようとします。

我慢をした経験があればその経験は自信となってくれます。何とか倹約してピンチを切り抜けようと知恵を絞ります。また、お金を貸すこともダメです。特に子ども同士ではトラブルの原因になり、最悪、友達関係にヒビが入ってしまうことも。

ただ、高校生からは理由によってはお金の貸し借りOKとしました。「我が子がお金を借りたいと言ったら?親だから出来るお金のしつけ」で紹介しましたが、高額な物を買うときに親が立て替える場面もあるでしょう。また、高校生になると奨学金について知る機会がありますので、お金を借りるという意思決定を自分で決断することもできます。

その2「お金は鍵がかかる場所に保管」

お金は大切なものですから、保管場所を決めておきましょう。鍵がかかる場所がベストです。机を持っていれば鍵がかかる引き出しに保管。なければ、親と話し合って、保管場所を決めておきましょう。

友達が遊びにきた時に、もし大切なお金が無くなってしまったら、いやな思いをするはず。財布や貯金箱があれば興味が湧いて、触りたくなるかもしれません。事故を未然に防ぐという点でも、目につかない場所に保管をしましょう。

その3「本当にほしい(必要)かどうか、3日間考える」

考える期間はわが家では3日にしましたが、ここは1日でも一晩でもかまいません。冷静になる時間をつくることが目的です。大人だって衝動買いをしてしまうことがありますよね。

さっきまで欲しいものが他にあったのに、目の前の物が無性に欲しいなんて経験は誰にでもあります。衝動的な気持ちを落ち着かせて、冷静になるための訓練を積みましょう。

これは必要な物なのか、それとも、単に欲しいという欲求だけで買ってしまう物なのか、自分と話し合いをします。実は、欲しい物が別にあったことを思い出すかもしれません。

必要以外の物が買いたくなった時は、後悔しないための意思決定ができるように時間を置くルールをつくりました。

その4「失くし物は探す」

物を失くしてしまったら、どうしていますか?親はすぐに代わりの物を買い与えていないでしょうか。失くしてしまえば、それを買うためのお金が必要になります。失しなった物もお金も、無駄になってしまいます。

失くし物をした時は、まず、探すこと。そして、どうして失くしてしまったのか、原因を考えます。お金も大切です。そして、物も大切にする習慣を身につけられるようにしましょう。

その5「困ったときこそ親に相談する」

この5番目のルールは外さないでほしいのです。自分が悪いことをしてしまった時や、お友達の物を壊したり、失くしてしまったりした時など、さまざまなアクシデントやトラブルが起きるものです。

そんな子どもがピンチの時にこそ、親に相談してほしいのです。どんな状況でも、「あなたを守るよ、味方だよ」ということを知らせてあげましょう。

親は自分の味方でいてくれるという想いが伝われば、子どもは相談に来てくれます。

思春期を迎えると、親子の会話は減っていきます。それでも、信頼関係があれば、困った時に相談にきてくれることでしょう。失敗した時でも最後まで理由を聴いてあげることで、親を信頼をしてくれます。

ただ何となくおこづかいをあげるのではなく、ルールをつくり、親子で守ることが大切です。これが長続きの秘訣だったりもします。決してやらせっぱなしにしないためにも、お金のしつけのルールをつくってみてください。

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