鉄道の写真で詩作! 「鉄道写真詩コンテスト」作品募集中

今年はコロナで中止のようですが、過去のコンテストでは作品を講評するトークステージも開かれていました。写真は鉄道博物館でのステージで、左が米屋さん、右が水無田さん。 筆者撮影

鉄道趣味は人それぞれ。乗り鉄に撮り鉄、車両鉄(鉄道車両愛好家)、時刻表ファンetc。鉄道の走るところ必ずマニアありで、鉄道ファンは全国300万人とも(鉄道好きを自認する前原誠司氏が国土交通大臣時代に聞いた話)。十人十色の鉄道の楽しみ方で、新しく提唱されているのが「詠み鉄」です。

左手にカメラ、右手にメモ帳とペン

詠み鉄って何? そんな方もイメージしやすいのが、テレビの人気バラエティ「プレバト」。人気コーナーに「俳句の才能査定ランキング」ってありますよね。満開の桜とか花火とかスキー場のゲレンデとか、季節に合わせたお題の写真を見て俳句を詠む。

査定ランキングの写真が鉄道(踏切や駅も)限定で、詠むのが俳句じゃなくて詩。さらには写真も自分で撮るというのが、名前もそのまんまの「鉄道写真詩」です。一般社団法人の交通環境整備ネットワークは9月30日まで、4回目の「鉄道写真詩コンテスト2020」の作品を募集中です。

撮り鉄の皆さん、シャッターチャンスが決まると、頭に詩が浮かんだりしませんか。乗り鉄の皆さん、旅情って「旅で感じる詩情」のことですよね。鉄道紀行の際は、カメラやきっぷと共に是非ともメモ帳を持って出掛けましょう。

「才能なし」はありません

テレビの俳句ランキングは査定する夏井いつき先生のキャラで成り立ってるところ大ですが(もちろん俳句永世名人のタレント・梅沢富美男さんも)、写真詩コンテストの審査委員も負けてません。鉄道写真家の米屋こうじ先生、詩人で社会学者の水無田気流先生のお2人。厳正な審査で各賞が決まりますが、審査会では俳句と違い「才能なし」とは言われませんからご安心を。

これまでのコンテストで私の印象に残った一遍を。桜の踏切を通り過ぎる列車の写真に、こんな詩が添えられてました。

「隠せない思い」
えび茶色の革靴に
はらりはらりと
桜が舞い降りた
はっと見上げたその顔に
頬は火照り胸は高鳴る
ポンポンポンポン
とっさに×を作ったけれど
火照りと鼓動は隠せなかった

作者は東京の女性で、通学の踏切が開くのを待つ間、たまたま一緒になった片思いの男性との思い出を詠んだようです。ポンポンは警報機の音、踏切のゼブラマークと揺れ動く心の×を掛けてるところがにくいですね。プレバト風に言えば、「ストレートに詠むも良し、発想を飛ばすも良し」。発想を飛ばした一編です。

最優秀賞は国交省鉄道局長賞

主催者の交通環境整備ネットワークは地方鉄道やバスのアドバイザリー機関で、公共交通に親しみを持ってもらおうと写真詩コンテストを企画しました。国土交通省鉄道局が後援、交通新聞社「旅の手帖」などが協賛します。

最優秀賞は国交省鉄道局長賞で、併せて米屋こうじ賞、水無田気流賞と入選作などを選定、表彰状と副賞を贈ります。

応募方法の詳細は「鉄道写真詩コンテスト」で検索してみて下さい。入賞作品はさいたま市の鉄道博物館、東京都墨田区の東武博物館、岩手県北上市の日本現代詩歌文学館、仙台市の東北福祉大学・鉄道交流ステーションでの展示会が順次開かれます。

文/写真:上里夏生

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