初登板で7回途中までノーノー 専門家が語る中日キューバ人右腕の可能性

1週間前に育成から支配下登録されたばかりのヤリエル・ロドリゲス投手が好投

開幕からローテを守るのはエース大野雄のみ、定着も「十分に可能性ある」

中日は9日、本拠地ナゴヤドームでの巨人戦で、延長10回の末2-2で引き分けた。1週間前に育成から支配下登録されたばかりのヤリエル・ロドリゲス投手が7回途中2失点と好投。ローテの一角を担えるだけの片鱗を見せた。巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球解説者の松本匡史氏も、キューバ出身の右腕が秘めた可能性にうなずく。

「テンポが良く、コントロールも悪くない。追い込んでから、縦と横の2種類のスライダーをうまく使っていましたね。巨人は初物に弱いとは言いますが、全然捉え切れていませんでした」

松本氏が合格点をつけるのも当然のマウンドだった。直球は150キロ中盤と威力十分で、速いカーブのような縦のスライダーと横滑りするスライダーを巧みに投げ分けた。首位の巨人打線に対し、7回1死まで無安打。梅津晃大投手が右肘の違和感で6日に抹消されるなどローテ陣の台所事情が良いとは言えない中、貴重な先発候補の台頭だった。

続投した7回に2本の長打を浴びて1点を失って降板。リリーフが同点に追いつかれたため初白星はお預けとなった。「6回を投げ終えた段階で代える選択肢もあったと思いますが、ノーヒットだとなかなか代えづらかったと思います」と松本氏。打線の援護も乏しかった。ただ、名刺がわりとしては十分な86球に「ローテのひとりとして計算できるかは次回の登板で判断することになるとは思いますが、今日の投球を見る限りは十分に可能性があると思います」と見通した。

課題は「簡単に四球を出してしまう」、同郷マルティネスの好リードに期待

ジャパニーズドリームをつかみに来た23歳の右腕にとって、進化が問われる次回以降のマウンド。松本氏は「課題を強いて挙げるとするならば、ボール球が続いて簡単に四球を出してしまうところ。そこは、捕手がしっかりリードしてあげないといけない」と言う。

バッテリー間のコミュニケーションを考えた場合、松本氏は「キューバ人コンビ」の実現にも期待する。同世代で同じく今季に育成から支配下を勝ち取ったアリエル・マルティネス捕手がリードすることで「言葉はしっかり通じるでしょうし、より良さを発揮させてあげられるかもしれませんね」と期待する。マルティネスはこの日、10回の代打でスイングの際にアクシデントを訴えてベンチに下がったのは心配だが、ロドリゲスにとっては心強い女房役になりそうだ。

チームはいまだ最下位にあえぐものの、首位・巨人に2勝1分と負けず、上昇気配は漂っている。開幕からローテーションを守っているのはエースの大野雄大投手のみという状況の中、ロドリゲスは先発陣を救う存在になれるのか。真夏の逆襲へ、期待は高まるばかりだ。(小西亮 / Ryo Konishi)

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