巨人・坂本、18打席無安打の突破口は? 専門家が「どん詰まれ」と言う理由

巨人・坂本勇人【写真提供:読売巨人軍】

丸も23打席無安打「スランプに陥ると頭では分かっていても体がついてこない」

■中日 2-2 巨人(9日・ナゴヤドーム)

巨人は9日、敵地のナゴヤドームでの中日戦で延長10回の末2-2で引き分けた。2点を追う展開で終盤に追いつく粘りは見せたものの、1~4番の上位打線は無安打。巨人で活躍し、楽天でヘッドコーチを務めた野球解説者の松本匡史氏は、中でも2番・坂本勇人内野手と3番・丸佳浩外野手の状態を心配する。

自慢の上位打線が苦しんでいる。得点の匂いどころか、チャンスも生まれない。この日、1番に起用された吉川尚輝内野手と坂本、丸、さらに4番・岡本和真内野手がそろって4タコ。特に坂本は18打席無安打、丸にいたっては23打席快音なしと深刻だ。6番に入るゼラス・ウィーラー内野手が適時二塁打を放つなど下位打線が気を吐いても、厚みのある攻撃には遠かった。

「やっぱり上位打線がしっかりしないとダメですね。そこが沈黙しちゃうと、本当に点が取れない。まず1番打者が固定できていないし、坂本と丸の2人が打てないと、さすがに岡本だけじゃ大量得点にはつながっていかないと思います」

チームは首位をキープしているが、ここ4試合勝ちなし。突然のブレーキと「サカマル」の絶不調は、切っても切り離せない関係だろう。現役時代に40打席ノーヒットの苦しみを味わった松本氏は、2人の気持ちを慮って言う。

「いわゆるスランプに陥ると、頭では分かっていて、練習でも心掛けているんだけど、いざ試合になると体がついてこない。何をしてもダメって時は確かにあります。ただ、ちょっとしたきっかけで状態が上向くこともありますから」

どん詰まりから感覚を取り戻すことも「とにかくいろいろ試してみること」

松本氏の目から見て、坂本の打撃は「球の呼び込みができていない。上体が泳いで、当てにいっている感じがします」。球界を代表する好打者なだけに修正能力も一流のはずだが、一助の思いを込めて解決のきっかけを示す。

「たとえばですが、どん詰まって内野手の頭を越えるヒットが出たり、どん詰まって逆方向に落ちるヒットが出たりしたら、少しは気づくことがあるかもしれませんね」

前で球をさばかず、球を自分の懐に呼び込んで打つ感覚。それが、どん詰まりの打球から得られるかもしれないと松本氏は考える。「あとはしっかりコースを絞って打つだとか、徹底して右方向に打つだとか、とにかくいろいろ試してみることです。そうすれば、少しは変わっていくかもしれません」。体力的にも厳しくなる夏本番にチームが失速するのか再加速するのかは、上位打線の奮起にかかっていると言ってもおかしくないだろう。(小西亮 / Ryo Konishi)

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