「いつも笑顔でいたいのに、ついイライラしてどなってしまう。時には子どもに手をあげてしまうことも。こんな私はダメなママ?」なんて思っていませんか。そんなときは、自分の気持ちについて考えてみましょう。
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イライラしてしまう自分を認める
まず、この記事を読んでいるあなたは、「イライラして、ついどなってしまう私」に気づいているということ。そして、それをどうにかしたいと考えているということでしょう。それ自体が、まずは大きな一歩です。自分を客観的に見ることができている証拠です。
イライラするというのは、「怒り」です。その感情が爆発すると「どなりたくなる」「たたきたくなる」という行動をしたくなるということ。
そもそも人間はいろいろな感情をもちます。「怒り」もその一つ。怒りの感情をもつことが悪いわけではありません。つまり「イライラしてはいけない」わけではありません。どうか自分を責めないでください。そして、イライラしている事実に「気づく」ことがとても大事です。
イライラは自分の気持ちとのズレ
なぜイライラの気持ちが起こるのでしょう。ちょっと考えてみてください。皆さんがイライラするのは、どんなときですか? 「子どもが言うことを聞かない」「時間がないのに、ぐずる」などいろいろあると思います。子ども相手でなくても、パートナーやママ友にだって、あるいは街中でだってイライラすることってありますよね。
たとえば、
- 急いで電車に乗りたいときに、自動改札機で前の人がエラーになる
- レジ待ちで他の列はどんどん進むのに、自分の列はなかなか進まない
- 運転中、前を走る車があまりに遅くて、なかなか進まない
などのとき、ちょっとイラっとすることがあるかもしれません。イライラするのは、自分の思った通りにならないとき。「こうしたい」と自分で意識しているときもありますが、明確に意識していないときもあります。
ほとんどの人は、「普通はこう」や「こうするのが当たり前」など、自分の中で無意識に抱いている考え方やストーリーがあります。それが崩されたときに、イライラすることが多いのではないでしょうか。ここをまず確認しておきましょう。
感情の爆発を子どもにぶつけない
イライラするとつい「どなりたくなる」「たたきたくなる」かもしれません。さきほど、この気持ちをもつこと自体を否定しないでとお伝えしました。ただし、イライラした自分の気持ちは認めつつも、怒りを爆発させて、どなったり、たたいたりしないことが大切です。
たとえば「片づけてほしいのに片づけない」ときに、たたいたことで、片付けが上手になるでしょうか?「おもちゃを友だちに貸してあげない」ときに、どなったら貸してあげられる子になりますか?
もちろん、たたいたりどなったりすることで、親の思うように子どもは動くかもしれません。でもそれは、「怖かったから親の思いに従っただけ」のことです。自分から考えて行動できるように、学んだことにはなりません。このように、頭では理解していてもなかなか行動に移せない、という人もきっと多いですよね。
爆発寸前の気分を切り替える方法
怒りのコントロールを「アンガーマネジメント」と言います。アンガーマネジメントでは6秒で落ち着かせることと言われています。怒りの爆発を6秒間抑えられれば、ちょっとクールダウンできるということ。まずは、自分で気分を切り替える方法を見つけておきましょう。私の講座では、以下のような方法をお伝えしています。
【怒りが噴火しそうになったら】
- 深呼吸する
- ゆっくり数を数えてみる
- (子どもが安全な場所にいれば)自分がトイレに行くなど、その場から少し離れる
- 水で手を洗う
- 窓を開けて風にあたる
- 好きな音楽をかける
- 好物のチョコを口に入れる など
すぐにはできないかもしれませんが、冷静なときに心がけておきましょう。そうすることで、怒りがこみあげてきたときに、だんだん対処できるようになっていきます。
イライラを子どもにぶつけても、問題が解決しないばかりか、余計にぐずったり泣きわめいたり。親のほうも怒って疲れてしまい、いいことはひとつもないはずです。
怒りのひとつ前の気持ちに注目を
「怒り」の感情は第二次感情と言われています。つまり、怒りの「ひとつ前の気持ち」である一次感情があるということ。たとえば片づけをしない子どもに対して怒りを感じたら、その前の私の気持ちに注目してみましょう。
片づけをしない子どもにイライラした私の「ひとつ前の気持ち」は、
- 散らかっていて「困っている」
- 早く片づけて、あったかいご飯を一緒に食べたいのに「悲しい」
- 困っている私の気持ちがわからないのでは?という「不安」
- 私だって「疲れている」
- そのあとすることがいっぱいあって、時間がないという「焦り」
などでしょうか。この怒りのひとつ前の気持ちに、注目すること。それを子どもに伝え、子どもの気持ちも尊重しながら折り合いをつけていきましょう。
事前に対処できることがあれば、対処してみるといいですね。心や体に余裕がないと、ちょっとした“ズレ”も許容できなくなります。最近「怒りっぽいな」と感じたら、それは自分の心や体が疲れているのかもしれません。
心と体を休めるために、「今日のご飯は冷凍食品でいいか」とか、「明日片づければいいか」と考える方法もあります。もちろん「冷凍食品を使うのはイヤ」「散らかったままにしておくとイライラする」なら、ほかに方法がないかを考えてみましょう。
今の世の中は、複雑な人間関係があり、時間に追われ、分かっていてもイライラは発生しやすい環境です。自分の気持ちを大事にしながら、客観的に見て対応方法を考える。そんな風に心がけて、自分の気持ちとつきあって、行動してみてはいかがでしょうか。
難しそう……と思った人も、まずはひとつでもできることから実践してみてください。行動することで、新しい発見もあるはずですよ。
著者紹介
高祖常子(こうそ・ときこ)
子育てアドバイザー、キャリアコンサルタント
資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事や行政の委員も務める。子育て支援を中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。著書は『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)、『感情的にならない子育て』(かんき出版)ほか。3児の母。
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