平和へのメッセージ カズオ・イシグロ氏、さだまさし氏ら11人分をネットで紹介 長崎市

 長崎市は9日、平和祈念式典の会場で配布したパンフレットに、ノーベル文学賞作家で名誉市民のカズオ・イシグロ氏や、同市出身の歌手、さだまさし氏らが寄せた平和へのメッセージを掲載した。国際機関、市民友好都市の市長らを含め計10人。被爆75年の節目の新たな取り組みとして、市が依頼した。パンフレット作製後に届いたメッセージを含め、計11人分を市のホームページで紹介している。
 イシグロ氏、さだまさし氏のメッセージは次の通り。

命こそが至上の価値 カズオ・イシグロ氏
 今日は恐ろしい出来事の記念日です。しかし、あの日長崎の人々を襲った苦しみが75年間繰り返されなかったという節目の日でもあります。私の母は被爆当時、市内にいた10代の若者でしたが、その後、長く平穏な人生を送ることができました。そう考えますと、この記念日は恐怖と悲しみだけでなく、苦難からの克服と希望を想起させる日なのです。私たちの文明社会がいかに脆弱(ぜいじゃく)な状態にあるかを忘れてはなりません。そして、現在の困難な時代にあっても、これまで安全に過ごすことができたのは国際協力と国際理解のおかげであり、その重要性を忘れてはなりません。私たちは大きな危険にさらされ続けていること、そして人間の命こそが至上の価値を持つものであることを心に留めましょう。
(長崎市による参考のための仮翻訳)

本当の悪は心の中に さだまさし氏
 被爆者だった叔母の言葉が胸に残っています。
 原子爆弾だけが悪では無く。
 本当の悪は人の心の中にいて、次々と兵器を考え出すのです。
 そして叔母はこうも言いました。
 もしも私たちの国が先にこの爆弾を作っていたら、他のどこかの国の誰かが私と同じ苦しみを受けたかもしれません。
 つまり戦争が全て悪いのです。武器で平和を買うことなど絶対に出来ないのです、と。
 世界中から、戦争と核兵器が無くなるよう、心から祈ります。


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