酒造メーカー痛撃…フランスワイン3億リットルが消毒液に

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フランスで、3億リットル近いワインが市場に出回らず、ハンドサニタイザー(消毒液)へ姿を変えるそうだ。

原料となるブドウはよい出来で、今年のワインの味も期待できるはずだったのだが、トランプ大統領がフランスワインに25%の追加関税をかけて出荷が半減した上に、新型コロナウイルスによる市場への大打撃が加わった。特にシャンパンへの影響が大きいと、ニューヨーク・タイムズが報じている。

フランス政府やEUはワイン業者への支援を強化し、消毒製品へ転換する業者に補償を支払うことにした。

余剰在庫を置く余裕のないワイナリーは、ワインの生産を中断し、在庫を消毒用のエタノールやハンドサニタイザーにせざるを得ない状況だという。

イタリアでは2億リットルほどがハンドサニタイザーになる見込みで、スペインでも似た措置が取られている。

手塩にかけてきたワインを製造途中で手放すことは、金額的な損害に加えて、精神的な打撃も大きいようだ。

似たような状況はアメリカでも起きている。 ワインだけでなく、ビールやウイスキー、ジン、ラムなどあらゆる酒造メーカーがハンドサニタイザーを製造しており、その数は現在800社以上となっている。

コロナウイルスが上陸すると全米各地でハンドサニタイザーの売り切れが相次ぎ、 FDA(米食品医薬品局)やアルコール・タバコ税貿易局(税務局)は暫定的に、監督のない状態で酒造会社にハンドサニタイザー製造を認めた。

クアーズビールやジャックダニエル、バカルディ、日本のビームサントリーなどもこの流れに加わっている。

あるレモンチェロのメーカーは本物のレモンをふんだんに使ったハンドサニタイザーを東海岸の病院や老人ホームに寄付。また、ある業者は製品にカクテルのフレーバーを付けた。

ただし、FDAは需要が落ち込んだ6月から、ハンドサニタイザーの基準を少し厳しいものに変更し、輸入品などを含めた100種類以上の粗悪品リストを公開し始めた。

日本も5月から一定の条件を満たした「高濃度エタノール商品」に対して酒税を課さない臨時的な対応を始め、これにより酒造メーカーが消毒用アルコールを医療機関などに提供できるようになっている。

欧米では、バーやレストランなどで営業制限の続いているところが依然として多い。 新型コロナや市場の今後の動向がよく見えないなかで、ビールのホップやワインのぶどうは、間もなく新たな収穫時期を迎える。 (取材・文/白戸京子)