8月8~9日、ドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港で2019/20年ABBフォーミュラE選手権の第8戦、第9戦が開催され、マキシミリアン・ギュンター(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)とジャン・エリック・ベルニュ(DSテチーター)が優勝を飾り、第9戦を2位でフィニッシュしたアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチーター)が2戦を残してシリーズチャンピオンを決定させた。
ニッサン・e.ダムス勢は第8戦でオリバー・ローランドが6位、セバスチャン・ブエミは11位、第9戦ではブエミが3位表彰台を獲得し、ローランドは5位という結果になった。
8月5~6日に行われた第6戦と第7戦に引き続き、ドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港特設サーキットで開催される2019/20年のフォーミュラE。今回の第8戦、第9戦では前2戦とは異なり通常レイアウトのサーキットが使用される。
そんな第8戦の予選でポールポジションを獲得したのはベルニュとなり、2番手にはギュンターが続いた。ランキングトップのダ・コスタは9番手につけた。
決勝レースがスタートすると、ポールシッターのベルニュが好ダッシュを見せトップをキープ。3番グリッドのジェローム・ダンブロジオ(マヒンドラ・レーシング)がギュンターのインに入り2番手にポジションを上げる。
3番手に落ちたギュンターだったが、すぐさま反撃を開始し、1周目の最終コーナーでダンブロシオのインに飛び込み2番手の座を取り戻した。
スタートから15分後、ジェームズ・カラド(パナソニック・ジャガー・レーシング)とセルジオ・セッテ・カマラ(ジェオックス・ドラゴン)が接触してしまいカラドがスピン。続いて走行していたマシンたちもアクシデントに巻き込まれてしまい、セーフティカーが導入される。
レースは残り22分から再スタートが切られ、ベルニュは引き続きトップをキープ。2番手ギュンターはアタックモードに入るが集団に飲み込まれてしまい、これは成功せず。
しかし残り13分から再びトップ争いが激化し、アタックモードを使用したバトルが展開される。そして残り4分という所でギュンターがベルニュのインに飛び込みオーバーテイク、トップに立った。
2番手に落ちたベルニュはエネルギーが足りないためペースが上がらず、3番手のロビン・フラインス(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)にもかわされてしまう。
これで2番手に浮上したフラインスは、トップのギュンターを猛烈に追い上げ、ファイナルラップで激しくギュンターを追い立てるがオーバーテイクには至らずギュンターがトップでフィニッシュラインを通過する。フラインスはコンマ1秒差の2位に終わり、3位はベルニュ、4位には9番手から追い上げを見せたダ・コスタが続いた。
ギュンターはこの優勝でランキング2位に浮上するが、依然としてダ・コスタが68ポイント差という大きなアドバンテージを得てランキングトップをキープしている。
■第9戦は雨模様のなかDSテチーターがワンツーフィニッシュ
翌日に行われた第9戦の予選ではベルニュがポールポジションを獲得し、2番手にはダ・コスタがつけDSテチーターがフロントロウを独占した。セカンドロウにはローランド、ブエミというニッサン勢が続いている。
迎えた45分間の決勝レーススタートでは各車クリーンな出だしを見せ、上位勢は順位通りに1コーナーを通過する。しかし2コーナーへの進入でランキング2位につけるギュンターが前方を走行するマシンに接触してしまいフロントが大破、まさかのリタイアとなってしまった。
このアクシデントによってセーフティカーが導入されるが、レースは残り35分で再スタートが切られる。時を同じくしてピットレーンに雨粒が落ち始めるが、各マシンはそのままレースを続行する。
残り30分というところでDSテチーターの2台はアタックモードへと入るが、2番手を走行していたダ・コスタは大回りのため4番手まで後退してしまう。しかしすぐさま前車をかわし3番手に浮上した。
ダ・コスタはその後、2番手のローランドもオーバーテイクし元の順位へと返り咲いてみせる。そして残り27分でDSテチーターの2台は順位を入れ替えダ・コスタがトップ、2番手ベルニュというオーダーに。
3番手、4番手につけるニッサン勢も懸命にDSテチーターの2台を追うがペースは上がらず、4番手のブエミは5番手走行のニック・デ・フリース(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)にかわされてしまった。
レース残り13分でブエミはデ・フリースをオーバーテイクし、4番手へと浮上する。そして残り7分というところでトップ2台は再びポジションを入れ替え、ベルニュが首位へ立つ。
ニッサン勢もこれを見てブエミがローランドをかわしDSテチーター追撃に移るが追い抜くまでには至らない。そして4番手に下がったローランドには5番手のデ・フリースが襲いかかり、半ば強引にローランドのインをこじ開けてオーバーテイクし、デ・フリースが4番手に浮上する。
45分がたちレースはチェッカーが振られ、ベルニュが優勝、ダ・コスタ2位とDSテチーターの2台がワンツーフィニッシュを決めた。2位でフィニッシュしたダ・コスタは2戦を残してドライバーズチャンピオンに輝き、同時にDSテチーターはチームチャンピオンも確定させた。
チャンピオンを決めたダ・コスタは「僕のキャリアのなかで何度も諦めかけたことがあった。でも周りの人たちのおかげで、僕は決してそうならなかった。チームメイトのベルニュにも感謝している。厳しいライバルだけど、彼には多くのことを助けてもらったし、このチームですぐに速く走れたのも彼のおかげだ」と語った。
3位には追撃及ばずニッサン・e.ダムスのブエミが続き、デ・フリースは4位、ローランドが5位という結果になった。2019/20年のフォーミュラE選手権は8月12~13日に最終のダブルヘッダーが開催されシーズンが閉幕する予定だ。
■ABBフォーミュラE選手権第8戦、第9戦順位結果
■ABBフォーミュラE選手権第8戦順位結果
Pos No. Driver Team Laps QF
1 28 M.ギュンター BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 35 2
2 4 R.フラインス エンビジョン・ヴァージン・レーシング 35 6
3 25 J-E.ベルニュ DSテチーター 35 1
4 13 A.F.ダ・コスタ DSテチーター 35 9
5 36 A.ロッテラー タグ・ホイヤー・ポルシェ 35 7
6 22 O.ローランド ニッサン・e.ダムス 35 10
7 64 J.ダンブロシオ マヒンドラ・レーシング 35 3
8 11 L.ディ・グラッシ アウディスポーツ・アプト・シェフラー 35 11
9 20 M.エバンス パナソニック・ジャガー・レーシング 35 19
10 27 A.シムズ BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 35 16
11 23 S.ブエミ ニッサン・e.ダムス 35 15
12 7 N.ミューラー ジェオックス・ドラゴン 35 23
13 2 S.バード エンビジョン・ヴァージン・レーシング 35 20
14 48 E.モルタラ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 35 14
15 33 D.アプト NIO 333レーシング 35 22
16 3 O.ターベイ NIO 333レーシング 35 24
17 94 A.リン マヒンドラ・レーシング 35 5
18 17 N.デ・フリース メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 35 8
19 19 F.マッサ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 35 13
NC 66 R.ラスト アウディスポーツ・アプト・シェフラー 30 21
NC 5 S.バンドーン メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 17 4
NC 51 J.カラド パナソニック・ジャガー・レーシング 13 17
NC 6 S.セッテ・カマラ ジェオックス・ドラゴン 10 12
NC 18 N.ジャニ タグ・ホイヤー・ポルシェ 10 18
■ABBフォーミュラE選手権第9戦順位結果
Pos No. Driver Team Laps QF
1 25 J-E.ベルニュ DSテチーター 37 1
2 13 A.F.ダ・コスタ DSテチーター 37 2
3 23 S.ブエミ ニッサン・e.ダムス 37 4
4 17 N.デ・フリース メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 37 5
5 22 O.ローランド ニッサン・e.ダムス 37 3
6 11 L.ディ・グラッシ アウディスポーツ・アプト・シェフラー 37 12
7 20 M.エバンス パナソニック・ジャガー・レーシング 37 11
8 36 A.ロッテラー タグ・ホイヤー・ポルシェ 37 18
9 94 A.リン マヒンドラ・レーシング 37 7
10 19 F.マッサ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 37 6
11 2 S.バード エンビジョン・ヴァージン・レーシング 37 17
12 5 S.バンドーン メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム 37 20
13 27 A.シムズ BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 37 16
14 48 E.モルタラ ベンチュリ・フォーミュラEチーム 37 13
15 64 J.ダンブロシオ マヒンドラ・レーシング 37 9
16 66 R.ラスト アウディスポーツ・アプト・シェフラー 37 8
17 51 J.カラド パナソニック・ジャガー・レーシング 37 14
18 33 D.アプト NIO 333レーシング 37 23
19 18 N.ジャニ タグ・ホイヤー・ポルシェ 37 22
20 7 N.ミューラー ジェオックス・ドラゴン 37 15
21 6 S.セッテ・カマラ ジェオックス・ドラゴン 37 24
22 3 O.ターベイ NIO 333レーシング 37 19
NC 28 M.ギュンター BMW i アンドレッティ・モータースポーツ 0 21
NS 4 R.フラインス エンビジョン・ヴァージン・レーシング 0 10