不妊治療にはいくらかかる?検討されている保険適用の内容とは

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出産高齢化と不妊治療の現状

不妊治療をしている夫婦は、精神的にも肉体的にも経済的にもキツイ、という話をよく耳にします。

しかし、晩婚化の影響もあって、不妊治療に前向きな夫婦が増えたといわれています。2015年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、5.5組に1組の夫婦が不妊治療を行っているという調査結果が出ています。

厚生労働省発表の「令和元年度の出産者の第一子出産年齢の分布」は表のとおりです。これを見ると、30代の出産が圧倒的に多いのです。

個人差はあるものの、一般的には30歳を過ぎると自然妊娠する力は下がり始めるといわれていますので、この中には不妊治療によって出産したご夫婦も少なからずいるかもしれません。

不妊治療の予算の目安

不妊治療の予算目安は段階により違います。

■タイミング法(保険適用):1回数千円

不妊治療の第一歩。医師の指導により排卵日前後に性行為をする。

■人工授精(保険適用外):1回1万円~4万円

精子を人工的に子宮へ注入する方法です。排卵のタイミングで元気の良い精子だけを子宮に送ります。

■体外受精(助成金制度あり):1回20万円~60万円

体外に卵子を取り出し、シャーレーの中で精子と受精させる方法です。

■顕微授精(助成金制度あり):40万前後

ガラス針の先端に精子を1個入れて、顕微鏡で確認をしながら卵子に直接注入する方法です。

通常、いきなり体外受精以降に進むケースは少なく、検査からタイミング法に進み、人工授精を経て、体外受精、顕微授精へと進むケースがほとんどとのことです。

そうすると、100万円コースになるそうですが、その他に、食事や漢方・整体・ヨガなどの併用する方も多く、200万円コースになることもあります。

ある不妊治療経験者の話によると、この方の場合は、薬の副作用などで体調が悪くなることが多く、家事などができないため想定外の費用もかかってしまったとのことです。予算をしっかり立てて、取り組んだほうがよさそうですね。

不妊治療助成金

少子化対策の一環として、「特定治療支援」を自治体が窓口となり行っています。

■対象者

・医師の診断で「特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みが少ない」または「極めて少ない」と医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦。
・治療機関の初日の妻の年齢が43歳未満。

■対象となる治療法

・特定不妊治療(体外受精・顕微授精)。

■給付内容

・特定不妊治療の費用1回につき15万円まで助成する。初回は30万円まで。
(凍結胚移植〈採卵を伴わない物〉等は7.5万円、初回は15万円まで)
・通算女性回数は初めての助成を受けた際の妻の年齢が40歳未満は6回、40歳以上は3回まで。
・特定不妊治療において、精巣等の手術を行った場合は、15万円まで助成。初回は30万円まで。
・平成25年以前からこの助成制度を利用している方は例外があります。

■所得制限

夫婦合算で730万円です。以前は「お金持ちでないと不妊治療はできない」と言われていましたが、現在でかなりハードルが下がっているといえます。

将来検討されている不妊治療の保険適用内容

年末に向けて調整されているのは下記の内容です。

■体外受精や顕微授精の高度生殖医療の保険適用

晩婚化の時代といわれていますが、結婚して即妊活をする人はそう多くはないと思われます。共働き世帯では、助成金対象となる所得730万円の壁は超えてしまうカップルが多いと思います。

晩婚化カップルの特徴として、40代から定年までのお金の支出が続くこと。結婚・出産・教育費・親の介護・自分たちの老後資金。

この間にマイホームの取得費も入ります。そうすると、いくら世帯収入が高くとも、妊活予算に割ける金額はおのずから決まってしまいます。そこまでして妊娠は望まないという声も聞こえてきます。

令和元年度の出生率は、4.7%、婚姻率は7.0%。依然として低水準で推移しています。(平成元年・1989年度の、出生率は10.2%、婚姻数は5.8%)

現在調整されている不妊治療コストの改革が、出生率や婚姻率の低下に歯止めがかかるのでしょうか。引き続き、見守っていきたいと思います。

執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士