DeNA国吉、坪井コーチのアドバイスで「記念球が2球」 7年ぶり安打のV打&2勝目

DeNA・国吉佑樹【写真:荒川祐史】

苦肉の“ブルペンデー”勝利に導き、首位巨人に肉薄

■DeNA 6-4 阪神(10日・横浜)

アレックス・ラミレス監督率いるDeNAは10日、本拠地・横浜スタジアムで行われた阪神戦で、投手陣のやり繰りの苦しい9連戦の6戦目とあって、中継ぎの武藤祐太投手を中日在籍時代の2015年以来5年ぶりに先発起用。苦肉の“ブルペンデー”だったが、6投手によるリレーで6-4で競り勝って、3連勝を飾った。この日試合のなかった首位・巨人に2ゲーム差に迫った。殊勲者は2番手で登板し、自ら決勝の2点二塁打を放った国吉佑樹投手で、自身今季2勝目を挙げた。

先発の武藤は今季初先発で、3日前のヤクルト戦でも2番手で1イニングを投げたばかり。試合前から「基本的に2~3回まで」(ラミレス監督)の予定だった。

その武藤が3イニングを大山の11号ソロによる1点に抑えて降板後、登場したのが国吉だった。4回はこの日最速の158キロを計測した速球を中心に、無安打無四球2奪三振で3人で片づけ、1-1の同点で迎えたその裏の攻撃では、1死一、二塁の好機で打席に入った。

「こういう形で勝てると、ブルペンに一体感が出るし、チームも乗っていける」

送りバントサインが出てもおかしくなかったが、ラミレス監督は「彼が打撃練習で柵越えを打つ姿を見ていたので、バントより打たせた方がいいという予感があった」とヒッティングを指示。実際には、国吉が最後に打撃練習をしたのは「(2月の)キャンプの時」という心細さだったが、阪神先発・岩貞の初球の内角高め142キロ速球をたたき、見事に“逆方向”の右中間を抜いて2者を生還させた。

プロ11年目・28歳の国吉のヒットは、2013年以来7年ぶり4本目。打点も過去には13年に1つあっただけで7年ぶりだった。国吉は「坪井打撃コーチから『初球からいっていい』と言われていました。芯でとらえた感触はありました」と会心の笑みを浮かべた。ちなみに、熊本・秀岳館高時代は「通算3本塁打」。

投げては6回に「3イニング目でバテテしまって」、1四球を挟み3連打で2点を失い、イニング半ばの2死でマウンドを降りたが、後続の藤岡、山崎、パットン、三嶋が相手の反撃を1点でしのぎ、国吉に白星が転がり込んだのだった。国吉は今季初安打・初打点のボールに加え、今季2勝目のウイニングボールもゲットし、「今(記念球が)2球持ってます。行き先? これから考えます」と照れた。

“先発の谷間”を最高の形でしのぎ、過酷な9連戦をここまで6勝1敗。国吉が「こういう形で勝てると、ブルペンに一体感が出るし、チームも乗っていける。これからのシーズンに向けて、いい意味があったと思う」と語った通り、首位・巨人の背中がはっきりと見えてきた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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