甲子園交流試合 創成館(長崎) きょう登場 平田(島根)と対戦 その「1勝」をつかみ取れ

創成館の3年生。勝っても負けても1試合の“夏の甲子園”に挑む=諫早市、創成館高野球場

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった第92回選抜高校野球大会。その出場権を手にしていた創成館が“救済措置”として10日に開幕した「甲子園交流試合」に臨む。勝っても負けても1試合きりの夢舞台で、幾多の悔しさを乗り越えてきた選手たちがどんなプレーを見せてくれるか。きょう第2日第2試合(11日12時40分)の平田(島根)戦で、貴重な「1勝」を取りに行くチームの横顔を紹介する。

■鍵は攻撃面
 昨秋、県で準優勝、九州で4強入りして選抜切符を獲得したチーム。全9試合で延べ27人が登板した投手陣をはじめ、守備は全国トップクラスと言える。今回は当時メンバー入りした松永知大、鴨打瑛二の両2年生左腕が外れたが、九州大会で全試合先発した技巧派左腕のエース白水巧を筆頭に、タイプの異なる5人の投手を登録した。
 バックも1年時に夏の甲子園を経験した松尾力基、インサイドワークに優れる浦邊駿太郎、外野の要である田中雄大らを軸に、一人一人の精度が高く、守りで崩れる心配は少ない。
 一方、鍵になるのが攻撃面。春と同様になくなった夏の全国選手権長崎大会の代替県大会で、その不安が如実に表れた。
 「頂点に立って甲子園で戦おう」と誓ったチームは、まさかの2回戦敗退。長崎西の長身左腕の前に、レギュラー陣は上原祐士と田中の2安打のみ、途中出場選手の2安打を含めた4安打1得点に抑えられた。この反省を胸に、持ち味の勝負強さ、エンドランなどの機動力を、最後に、最高の舞台で披露したい。

「勝利にこだわる」と闘志を燃やしているエース白水=佐世保市総合グラウンド野球場

■強さを示す
 3月、選抜開幕約1週間前の中止決定に選手たちは泣き崩れた。「夏に行くしかない」。全員で懸命に前を向いたが、5月、それも消えた。そして、今季の県王者を決める代替大会での敗戦…。「甲子園交流戦出場の創成館 敗れる」。インターネットではそんな速報も流れた。10代の少年たちにとって、試練の時間が続いた。
 それでも、創成館は近年の長崎高校野球界を引っ張ってきたチームであり、選手たちはその強さをしっかり引き継いでいる。過去に例のない今回の甲子園に立つ資格は十分にあると言えるだろう。ここまでため込んできた思いのすべてを、憧れ続けた舞台にぶつけたい。
 主将の上原が部員121人の思いを代弁する。「限られたチームしかプレーできないことに感謝しながら、長崎、九州の代表として、もう一回“創成館は強い”というのを示し、後輩たちへつなぎたい」


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