大阪=たこ焼き、名古屋=手羽先……神戸=カレー! 「ラージクマール」片山絢一さんの挑戦

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神戸で「カレー」が今アツい。神戸のカレー店を集めたフェスが開催され、会員制交流サイト(SNS)では、「#神戸をカレーの街に」というハッシュタグをつけた投稿の数が1万件に迫る(2020年8月11日現在)など、一大ムーブメントとなっている。その火付け役が、「神戸カレー食堂 ラージクマール」(神戸市中央区北長狭通3)の店主、片山絢一さん(34)だ。お店の魅力や楽しみ方、サラリーマンからカレー屋の店主に至るまでの半生を聞く。

■「僕ひとりのお店じゃない」スタッフと作り上げた空間で楽しむ絶品カレー

――お店の待合スペースは相当広いですよね。

10人くらいのお客様が椅子に座って店内で待てます。いろいろなお店の名刺を置いていますし、所在地を地図で表した「神戸カレーマップ」を掲示しています。

――どうして他のお店の情報をお知らせしているんですか?

うちで食べてもらった帰りに「明日は、来週は、ここのカレー屋に行ってみよう」という発見をしてほしいんです。とにかくカレーを食べる人が増えてほしい、それだけです。

――カウンター3席、テーブルが16席です。カレー屋としては広いですよね。

40坪ありますので、めちゃくちゃ広いですね(笑)。カウンターで食べるお店が多い中、テーブルでゆったりと、デートや女子会、友達との食事などに使っていただきたいとずっと思っていたんです。

――味わいの特徴はありますか?

甘くはないですが、「辛すぎない」ことをすごく意識しています。たまにピリ辛の週替りメニューがありますので、いろいろ楽しめると思います。

「3種ナッツの香ばし鶏キーマ」(右)と「3種チーズのコク旨ポークキーマ」

――「3種ナッツの香ばし鶏キーマ」「3種チーズのコク旨ポークキーマ」の2つがレギュラーメニューですね。

「鶏キーマ」には砕いたナッツを敷き詰めています。食べたときに口の中でお肉の食感と、細かく刻んだ野菜の食感と、ナッツのザクザクした食感の3つを楽しめます。「ポークキーマ」にはチーズをかけてバーナーで炙っています。これに週替りカレーがついた「3種あいがけ」(1,100円)がおススメです。6~7割くらいのお客さんが頼まれます。

――その週替わりカレーですが、どのように考えているのですか?

自分で考えてひねり出すこともありますし、スタッフに「どんなカレーが食べたい?」「好きな食べ物は?」と聞いて、それをヒントに思いつくこともあります。例えば、一人のスタッフが「すき焼きが好き」といったことから「すき焼きキーマ」なるものが生まれたりしましたね。

――スタッフは何人?

15~16人はいます。学生の子もいますし、別で働いていて休みの日に手伝ってくれる子も。スタッフの存在は本当に大きくて、「僕ひとりのお店」という認識がないんです。間借りの頃から「神戸をカレーの街に」という共通の目標のもと、みんなで作り上げてきたお店です。

■サラリーマンからカレー屋に……“華麗な”⁈転身の経緯

――生まれは群馬県ですよね。どうして神戸に?

群馬県は海がない内陸の県だったので、港町や船といったものにすごく憧れていました。就職は東京だったのですが大阪に転勤することになり、その時に住む場所に選んだのが神戸でした。

――いろいろな料理がある中でカレーを選んだ理由は?

最初は、「料理出来たらモテるかな」くらいの軽い気持ちでした(笑)。パスタなどいろいろ作ったんですが、中でもカレー作りがめちゃくちゃ楽しくて。

――カレーを仕事にしようと思ったのは?

独学でカレーを作り始めて1年半くらいの時、素人でも出られるカレーフェスに出店してみました。自分の研究してきたカレーがたくさんの人に喜んでもらえて、その対価でお金をいただける。ものすごく楽しくて、これを仕事にできたら幸せだな、と思いました。お店を持ちたいと思ったのはそこですね。

――でも当時はまだサラリーマンですよね。

飲食業の経験はもちろんありませんし、まずは週末だけやってみて経験を積もうと思いました。自信がついたことと、少しずつ貯金がたまり資金の面がクリアされたことで、実店舗を持つ運びになりました。親は許してくれたんですけど、「大学まで行かせてもらって……」と、正座をして話しましたよ(笑)。

――そういえば、「ラージクマール」の店名の由来は?

インドの言葉で「王子」です。カレー作りを始めたときに、友達にふざけて「カレー王子と呼んでくれ」と言っていて。最初のカレーフェスに出るときに「ラージクマール」という店名にして、そこからずっとです。もうちょっとちゃんと考えておけばよかったかな(笑)。女性に聞かれて恥ずかしい時などは、「ラージクマールさんという映画監督がいて、そこから拝借しました」とごまかします(笑)。

■実店舗オープン直後の新型コロナウイルス流行を乗り越え……片山さんの挑戦は続く

――新型コロナウイルスの影響はありましたか?

営業は続けていましたが、お客様はなかなかお越しになれないですよね。

――そうした中、クックパッドで「おうちでらじくま」としてレシピを公開されていますね。

隠し味を全部載せているものもありますから、企業秘密的なものを結構開けっ広げにしちゃってますね。コロナの影響で家から出られない方にうちのカレーを食べていただきたい、でも店に来ていただくわけにはいかない……。じゃあもう作ってもらおう、と。

――今後の目標を教えてください。

大阪だったら「たこ焼き」や「お好み焼き」、博多だったら「博多ラーメン」、名古屋だったら「手羽先」や「味噌煮込みうどん」……。「神戸だったらカレーだね」と言われる、名物のひとつになりたいんです。インドカレーや欧風カレー、スパイスカレーなど、いろいろなカレーが食べられる街になっていけたらいいなと思っています。この多様性は港町ならではですね。

――私たちは何から始めればいいしょうか?

まずはお友達と、恋人と、家族と……食事をする際にカレーを選んでください! ハッシュタグ「#神戸をカレーの街に」も使ってくださいね。

店の営業時間は午前11時30分~午後3時、月曜定休。