ミス少ない「バランサー」 V長崎 MF加藤大 「ゴールという結果で応えたい」

リーグ再開後の全試合に出場している加藤大。堅実なプレーでチームを支える=山口市、維新みらいふスタジアム

 V長崎の中盤と言えば秋野とカイオセザールの印象が強いが、新潟から今季レンタル移籍してきた加藤大もリーグ再開後の全試合に出場している。その特徴を言い表すなら「バランサー」。先発でも、途中出場でも、どの選手との組み合わせでも、どんな戦術でも-。必ずかみ合わせてチームを機能させている。
 新潟がJ1だった2017年、試合中の走行距離とスプリント回数は毎回のように上位に入っていた。その運動量を評価してV長崎も獲得に動いたが、ふたを開けてみると、それ以上に評価されたのはミスの少なさだった。手倉森監督は2月の宮崎キャンプ中から「思っていた以上にマサルがいい」と熱視線を送り、その言葉通りにリーグ戦で起用を続けている。
 詰まらず着実にボールを前に運び、しかもボールロストが極端に少ない。たとえ味方が奪われても、周到なカバリングで速攻を許さない。V長崎の分厚い攻撃は、2列目、3列目の積極的な攻め上がりの上に成り立っており、それを可能にしているのは、リスク管理にたけた加藤大の存在だ。
 本人も自らの役割を十分に理解している。「カイオ(セザール)みたいに1人、2人背負いながらでも突破できる能力はない。ミスのない上で効果的なプレーをしなければいけない」。チームの中での立ち位置を突き詰め、かゆいところに手が届くような働きを心掛けている。
 プロ11年目で公式戦の出場数は259試合を数える。毎年必ず出場機会を与えられてきたのは、尽きることのない向上心があるからだ。
 「求められる仕事をしっかりやった上で、それ以上のものを見せたい。自分としてはゴールという結果で応えたいと素直に思っている」。まずは手堅く、安全に。その上で自身2シーズンぶりの得点も狙う。あくまでもチームの勝利のために。

© 株式会社長崎新聞社