雇用保険で受け取れる手当は失業手当だけではない!再就職後にもらえる手当とは

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3つの手当の目的の違い

初めに失業手当と再就職手当、就業促進定着手当について、簡単にそれぞれの目的の違いを見ておきます。

失業中に雇用保険からもらえる失業手当は、生活の心配をすることなく仕事探しに専念してもらうことを目的としています。しかし一方で、失業手当をもらえる間は再就職をためらう人もいるかもしれません。

再就職手当は、失業手当がもらえる日数を一定日数以上残して再就職した場合に、一時金のような形で支給されるものです。失業手当の支給残日数が多ければ多いほど再就職手当も多くなることで、早期の再就職を促します。

就業促進定着手当は、端的にいえば、再就職先の給与が以前の給与より低い場合に支給される手当です。

前職と比べて給与が下がってしまうような条件では再就職に躊躇したり、就職しても安定して働き続けることが難しくなるかもしれません。就業促進定着手当は再就職によって下がった収入を少しでも補うことで、安定した就業や生活をサポートする目的があります。

就業促進定着手当をもらえる条件

先にも述べたように、就業促進定着手当は前職よりも給与が下がるような場合に支給される手当です。支給を受けるためには以下の要件を満たしている必要があります。

  • ★再就職時に、再就職手当を受けていること
  • ★再就職の日から同じ勤務先で継続して6ヶ月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
  • ★再就職先で6ヶ月間に支払われた賃金の1日分の額が、前職の賃金日額より低いこと

就業促進定着手当の額はどう決まるの?

就業促進定着手当の額は、以下の計算式によって決定されます。

支給額=(前職の賃金日額-再就職先で6ヶ月間に支払われた賃金の1日分の額)×再就職の日から6ヶ月間における賃金の支払いの基礎となった日数
(日数については、月給制の場合はカレンダー日数、日給制や時給制の場合は労働した日数)

つまり、前職との給与の差額分がカレンダー日数もしくは労働した日数分だけ支給されます。ただし、支給額には上限額があります。

上限額:
失業手当日額(※1)×失業手当の支給残日数に相当する日数(※2)×40%(※3)

※1 離職時の年齢が60歳未満の人:6165円、離職時の年齢が60歳以上65歳未満の人:4990円(令和2年7月現在。毎年8月1日に改定)
※2 再就職手当を受ける前の残日数
※3 再就職手当の支給率が70%の場合は30%

就業促進定着手当がどれくらいもらえるか計算してみましょう

では、実際に就業促進定着手当を以下の例を基に計算してみます。

例)
・60歳未満時点での離職
・離職時の給与が月給33万円
・離職時の賃金日額は1万1000円
・失業手当の所定給付日数が120日、支給残日数が90日(残日数2/3以上)
・失業手当6000円
・再就職手当受給済(再就職手当の支給率は70%)
・再就職後の6ヶ月間は月給31万5000円
・再就職後の6ヶ月間の1日分賃金は1万500円
・支払い基礎日数は183日(月給制によりカレンダー日数)

就業促進定着手当の計算
(1万1000円-1万500円)×183日=9万1500円

上限額の計算
6000円×90日×30%=16万2000円

就業促進定着手当が上限額以下なので、9万1500円が支給されます。

就業促進定着手当の申請方法について

就業促進定着手当の申請期間は、原則として再就職日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月以内です。申請に必要な以下の書類を再就職手当の手続きを行ったハローワークに提出します(提出は郵送でも可能です)。

  • ★支給申請書(再就職先の事業主の証明が必要)
  • ★雇用保険受給資格者証
  • ★6ヶ月間の出勤簿の写し、給与明細または賃金台帳の写しなど(ハローワークが求める書類)

まとめ

雇用保険は給与から天引きされていて、普段はあまり気にしない保険かもしれません。

しかし、失業のような状況になった場合にはとても助かる保険です。また、失業時に失業手当がもらえるイメージが強い保険かもしれませんが、再就職が決まったときの再就職手当や、今回見てきました就業促進定着手当もあります。

再就職のための活動は大変で不安もあるかと思います。家計への心配を少しでも減らすよう、公的制度をしっかり理解して活用するようにしましょう。

執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)