42歳で長子誕生「定年と子どもの成人が重なり不安、このままの貯め方で大丈夫?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、42歳、会社員の男性。妻が妊娠し、今年11月に長子が誕生予定ですが、将来は定年と子どもの成人が重なり、ローンの返済も残っているため不安とのこと。FPの飯田道子氏がお答えします。

出産後の家計が不安です。このままで良いかの相談です。

住宅ローンは、借入額5120万円、金利1.34%、35年固定、残31年です。60歳定年後も住宅ローンは残る為、保険の積立で繰上げ返済予定です(60歳くらいに繰上げ返済予定)。

また、11月に出産予定の為、定年と、子ども成人がかさなります。住宅ローン、教育資金、老後資金を平行で貯めていく必要があると認識してきますが、今のままの家計で良いかがわかりません。改善する必要がある場合、どこを改善すればよいかがわかりません。アドバイスをお願いします。

【相談者プロフィール】

男性、42歳、会社員、既婚

同居家族について:妻、39歳。11月に出産予定です。その後は、仕事復帰予定。

住居の形態:持ち家(戸建て)

毎月の世帯の手取り金額:35万円

ボーナスの有無:あり

年間の世帯の手取りボーナス額:150万円

毎月の世帯の支出の目安:30万円

【支出の内訳】

住居費:毎月13.5万円 ボーナス15万円

食費:食品4.5万円 外食0.5万円

水道光熱費:1.6万円

保険料:医療保険1.1万円 積立保険(米ドル建て)5万円

通信費:携帯0.9万円 インターネット0.7万円 その他0.2万円

車両費:0.7万円

お小遣い:夫1.5万円 妻1.0万円

その他:日用品3.5万円

【資産状況】

毎月の貯蓄額:財形積立6万円 保険5万円 その他3万円

ボーナスからの年間貯蓄額:40万円

現在の貯蓄総額:1400万円

現在の投資総額:投資信託90万円 株式190万円

現在の負債総額:4900万円


飯田:奥さまが出産を控え、出産後の家計が心配な相談者様。住宅ローンを抱え、定年退職のタイミングと子どもが成人するタイミングが重なるため、今のままの生活を続けていっても良いのか? 改善する必要がある場合には、どこをどのように改善していったら良いのか、お悩み中です。相談者様は、改善する必要があるのか? その場合には、どのようにすれば良いのか? その他、気になる点はないのかを考えてみたいと思います。

ライフプランの見直しからスタートしましょう

11月にお子様が誕生予定とのこと。本当におめでとうございます! コロナ禍で不安がある中、夫婦二人で、健康に留意しながら頑張っていらっしゃるかと思います。くれぐれもお身体をご自愛くださいね。

まず、お子様の誕生を機に行って欲しいのが、ライフプランの見直しをすることです。

相談者様からのお話やデータを拝見していくと、しっかりと考えてマイホーム購入し、繰り上げ返済まで計画、定期的な貯蓄など、将来を見据えて行動されていて、大変立派だと思います。

とはいえ、新たな家族を迎えると、計画とは違う出費が必要になったり、反対に、予想に反してお金がかからなくて済むことなどが出てきます。これらをライフプランのデータに、今一度、反映してみて下さい。

また、現状では奥さまは仕事に復帰する予定で進んでいますが、諸事情により、働き方を変える、もしくは辞めざるを得ない事態があるかもしれません。このようなことがあった場合にも、ライフプランの見直しは必ず行ってください。

家計に問題点はある? 改善する必要はある?

毎月の生活費については、特に無駄なものも感じられません。お小遣いも、夫婦二人の合計金額が2.5万円と、素晴らしいですね。

支出の部分で気になるのは、米ドル建ての積立保険です。毎月5万円と、なかなかの金額を積み立てていらっしゃいます。おそらく、保障プラス運用として利用されているのだと思います。

ご存知だと思いますが、米ドル建て商品ですので、運用利率が良い場合であっても為替リスクを避けることはできません。住宅ローンの繰り上げ返済資金とのことなのですが、改善というほどのことではありませんが、満期まで保有するのか、為替レートを踏まえて途中で解約するのかを意識して欲しいと思います(考えていらっしゃると思いますが……)。

保険に入りすぎない

お子様が生まれたとなると、保険の見直しと銘打ってセールスマンからのアポイントが入ることがあります。データを拝見する限りでは、相談者様はしっかりとお金を管理されていらっしゃるので大丈夫だと思うのですが、むやみに保障を増やすことは、避けて欲しいと思います。

死亡保障は団信保険でカバーされていると思いますが、お子様の誕生とともに、学資保険に加入することが考えられます。

学資保険は、実質、契約者である父親もしくは母親の保障でもあります。住宅ローンを共有で利用しているのなら、学資保険に加入するときには、夫婦のどちらの保障とリンクさせた方が良いのかも考えて、加入するようにして下さい。

子どもが中学生ぐらいまでがお金の貯めどき

相談者様の場合、教育費と老後資金を同時に貯めていかなければなりません。しかしながら、何もかもを同時に行うのは無理があります。

本来であれば、教育費を中心に貯めていき、お子様の成長とともに老後資金にシフトしていくのが王道なのですが、年齢的に厳しい可能性も……。

たとえば毎月の預貯金額を10万円とした場合、教育費と老後資金9:1で貯め始め、その後はその配分を変えていくようにします。相談者様もおっしゃっているように、大切なことは、常にどちらのお金も貯めていくということです。

お子様が小さいうちは、教育費も多くはかかりません。今から中学生くらいまでが貯めどきになりますので、一日も早くスタートさせてくださいね。

将来への備え方

しっかり計画的に住宅ローンを組み、預貯金に励んでいる相談者様。大きな改善点はありませんでした。今のペースで生活しても問題ありません。

しかしながら、2020年のコロナ禍や近年の自然災害といった、思わぬ事態を乗り越えなければならないことがあります。

すでに貯蓄は備わっていますので、自分たちのペースを崩さず、適宜に見直しをしながら生活していって欲しいと思います。

今まで経験したことのないコロナ禍での出産で、心配も多いかと思います。是非、奥さまをささえながら、明るい未来を思い描いてくださいね。生まれてくるお子様にとっては、ママだけでなくパパも大切な存在です。くれぐれも、ご無理をされませんように!

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