FIA、2021年の技術規則を修正へ。F1マシンのデザイン複製を大幅に制限する計画

 FIAは、2021年の技術規則を改定する予定だ。マシンのデザインにおいて、各チームがレーシングポイントによる模倣的なアプローチを取らないよう、F1におけるデザインの複製の範囲を大幅に制限するためだ。

 F1第5戦70周年記念GPの金曜日、FIAはレーシングポイントのブレーキダクトに対するルノーの申し立てを支持した。ルノーはレーシングポイントの2020年型マシン『RP20』の後部に取り付けられたブレーキダクトについて、チームによってデザインされたものでなけれならないリステッドパーツの規則に違反していると主張していた。

 今日の裁定を受けてF1とFIAは、チーム間でのコピーやクローニングをより明確に防ぐために、2021年の規則ではさらなる基準を定めることを発表した。

「非常に急ではあるが、我々は2021年の競技規則にいくつか修正を加える計画を立てた。この件が標準となることを防ぐためだ」とFIAのシングルシーター責任者のニコラス・トンバジスは語った。

「これにより、チームがレーシングポイントのようなやり方で、大量の写真を用いて他のマシンの一部を丸ごとコピーするのを防ぐことになる」

「局所的に個々のコンポーネントをコピーすることは引き続き可能だが、我々はマシン全体が他のマシンを根本的に真似たものになることは望んでいない」

 一方でトンバジスは、今後導入される基準によって、レーシングポイントがメルセデスを真似たデザインの廃止を強制されることはないと主張した。

「それについては裁定や文言自体と同様に、今後数週間のうちにガイダンスを提供する」

「我々は、チームが来年のマシンについて同じことをやり始めるべきではないという、非常に強力なメッセージを発したいと考えている。なぜなら単にそれは許されることにはならないからだ」

「もちろん、チームが2019年/2020年型マシンに今搭載しているものが何であれ、廃止にしたり最初からやり直すことはするべきではない。そのように運用される規則ではないのだ」

■「メルセデスが10台並ぶことにはなってほしくない」

 トンバジスは、F1ではコピーが広範囲に行われていることを認めたが、レーシングポイントによるコピーの度合いは、どうしても容認できないものだと語った。

「F1では長いことコピーが行われてきた。写真を撮ったり、時にはリバースエンジニアリングを行って同様のコンセプトを作ったりということだ。いくつかの領域では、他のチームと同じかそれに近いコンセプトが作られる。我々はこうしたことを将来完全になくすことができるとは思っていない」

「だが我々はレーシングポイントがコピーを別のレベルに引き上げたと考えている。彼らはマシン全体にこの哲学を適用することを明確に決定したのだ」

「私ならパラダイムシフトと呼ぶが、そうすることで彼らは過去40年間F1のデザインの規範とされていたプロセスの混乱を、実際に利用した」

「したがって彼らがこのアプローチを取った初めてのチームだということで、処罰すべきではない。しかしながら、我々はこれがF1がなるべき姿とは考えていない」

「来年、このプロセスをいかにこなすかということが重要なスキルとなって、8台や10台のメルセデスやメルセデスの複製マシンがグリッドに並ぶようなことになってほしくない。それがF1の標準となることは望んでいないのだ」

2020年F1第5戦70周年記念GP ランス・ストロール(レーシングポイント)

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