長崎大学病院 職員の2割が「風評被害実感」 患者と接する職種ほど割合高く

長崎大学病院=長崎市坂本1丁目

 長崎大学病院(中尾一彦病院長)は11日、病院職員を対象に新型コロナウイルスに関する風評被害の実態を調査したところ、回答した職員の約2割が「風評被害の実感がある」としていたことを明らかにした。職員本人や家族が周囲の人から接触を避けられる、子どもが登校自粛を求められるなどの回答が並んだ。
 同病院によると7月上旬、同病院の実習生や患者ら関係者3人の陽性が確認され、病院関係者への風評被害を訴える声が上がったため、調査した。職員約2600人と外部の委託業者を対象にアンケートを実施し、職員1226人(回収率約47%)を含む1377人から回答を得た。
 「風評被害の実感がある」と回答した職員は275人(委託業者を含むと計299人)。内訳は看護師25%、医師・歯科医師23%、メディカルスタッフ18%などで、患者と近くで接する職種ほど高かった。
 具体的な事例は▽接触を避けられた=37%▽医療機関などの受診・面会を断られた=15%▽子どもが登校・登園自粛を求められた=9%▽家族が出勤自粛を求められた=9%▽SNSなどで誹謗(ひぼう)中傷を受けた=6%-など。中には「近所の人が『長大の人が周りに住んでたら嫌だ』と言っているのを聞いた」「美容院から来店を断られた」などの回答もあった。
 「新型コロナに関連して困っていること」を尋ねた質問には「子どもに迷惑やイヤな思いまでさせたくない。その時は、仕事を辞める覚悟」「医療者に感染者が出ると、心ない風評被害を受ける…医療者ってなんなんでしょうか…便利屋ですか…」などの回答が並んだ。半面「保育園で『体を壊さないようにされてくださいね』と声を掛けられた」などの回答もあった。
 中尾病院長は「医療従事者が安心して働けるよう、偏見や差別をなくし、ぜひ応援する気持ちで見守ってください」とコメントした。

 


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