挫折乗り越え、大きな喜び 創成館主将・上原「人間力が試されてきた」

甲子園交流試合・第2日

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憧れの舞台での1勝をかみしめて、晴れやかな表情で整列する上原=甲子園

 「われわれ大人も誰も経験したことがないから何を言っても響かない。説得力がない」。コロナ禍で“本来の甲子園”である春の選抜、夏の選手権の中止が決まった際、創成館の稙田監督はこう本音を漏らした。そこに懸けてきた高校生の心が折れるのは無理もない、簡単に「乗り越えよう」なんて促せないと。
 それから数カ月。異例とはいえ、やっと憧れの舞台にたどり着いた選手たち。度重なる悲劇の矢面に立ってきた主将の上原はかみしめるように言った。「この甲子園で1勝できて良かった」
 部員121人の大所帯をまとめる自身も、一度は「折れた」。練習への意識低下を「態度に出してしまった」。分かってはいたものの難しかった「自分がちゃんとしないと」という現実…。だが、仕方なかったとも言える当時の状況でさえ今は「未熟だった」と振り返る。ともに涙を流して、支え合ってきた仲間が前を向かせてくれた。
 迎えたこの日。「全国で限られた選手」であることに感謝して「全てをぶつけた」。背番号3を付けて途中出場すると、八回に好機を広げる右前打を放ち、九回の守備はウイニングボールを丁寧に捕球。瞬間、穏やかな笑顔が広がった。
 飯盛中卒業後、険しい道のりを歩んできた2年5カ月。県外出身選手らとの激しい競争や大きな挫折を“乗り越えて”最後に喜びを味わえた。大人たちが期待しながらも口にしづらかった言葉を言えるようになった。
 「自分たちの人間力が試されてきたと感じる。この経験があったから、強くなれた」と。